博報堂もAIを使った広告システムの開発に取り組む。2017年3月、グループ会社の博報堂アイ・スタジオ、日本マイクロソフト(MS)と共同で、閲覧者の性別や年代、感情などをAIが推定してデジタルサイネージに広告を出し分ける「Face Targeting AD」を発表した。

 デジタルサイネージに設置したカメラで閲覧者の顔写真を撮影。画像データをインターネット経由で日本MSのクラウドサービス「Microsoft Azure」に送って解析し、閲覧者の属性や感情などを推定する。解析後は顔写真の画像データをすぐに破棄し、個人の顔を映した画像データが外部に流出するリスクを減らす。

 例えば疲れた表情をしている閲覧者には栄養ドリンクの広告を表示する。ほかにも顔の形や位置を認識して目元に眼鏡を表示したり、悲しそうな表情をしていると面白い映画を紹介したりといった活用事例を想定する。販促ツールとして商業施設や公共施設などへの設置を想定する。

図 博報堂と博報堂アイ・スタジオ、日本マイクロソフトが開発した鏡型デジタルサイネージの仕組み
図 博報堂と博報堂アイ・スタジオ、日本マイクロソフトが開発した鏡型デジタルサイネージの仕組み
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 日本MSの浅野智業務執行役員パートナービジネス推進統括本部長は「音声認識や文字による対話といった機能を搭載すれば、閲覧者の要望に合わせてよりきめ細かく情報を提供できる」と期待する。例えば視聴者が「この広告の商品が欲しい」と話しかければ最寄りの売り場を紹介したり、「近くにお薦めのレストランはある?」との質問に対して人気のレストランを紹介したりできる。既に複数社から引き合いがあり、早期の実用化を目指す。