経営層の承認を得てパブリッククラウド(以下、クラウド)の導入が決まったとしても、まだ課題は残る。利用部門の間では、クラウドへの不安や、システムを変えることへの抵抗感がくすぶっていることがある。

 そうした利用部門の不安や抵抗感を払拭し、クラウド導入プロジェクトを円滑に進めるには、利用部門の担当者に早い段階でクラウド上のシステムを操作させ、問題が無いことを実感してもらうことが効果的だ。その好例として、エレベーター大手のフジテックの取り組みを紹介しよう。

各部門のキーパーソンを集め個別説明会を開催

 フジテックが業務システムのインフラとしてAmazon Web Services(AWS)の導入に踏み切った際、利用部門では不安感や抵抗感がくすぶっていたという。堀川修一情報システム部主務は「性能などを心配する声があった」と振り返る。

左からフジテックの松本紘直情報システム部主務、友岡賢二常務執行役員情報システム部長、マスコットキャラクターのテッキー、堀川修一情報システム部主務
左からフジテックの松本紘直情報システム部主務、友岡賢二常務執行役員情報システム部長、マスコットキャラクターのテッキー、堀川修一情報システム部主務
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 不安を解消するため、各利用部門の部門長と情報化担当者などのキーパーソンを集めた個別説明会を繰り返し開催した。その際に工夫したのは、オンプレミス環境とAWS上の検証環境(プロトタイプ)を両方用意し、実際に操作してもらったことだ。参加者は、両システムでレスポンスなどを比べて、性能面で問題が無いことを確かめた。堀川主務は「レスポンスなどを体感してもらうことで、性能面の不安を取り除けた」と話す。