中国ファーウェイは2017年9月2日、ドイツ・ベルリンで開催中の「IFA 2017」の基調講演において、最新SoC「Kirin 970」を発表した(写真1)。
特徴は、ファーウェイが「世界初のAIプロセッサ」と位置付ける「NPU」(Neural-network Processing Unit)を備えていること。このKirin 970を搭載したスマートフォンである「Mate 10」シリーズを、10月16日に発表することも明らかにした。
「モバイルAI」を提供
基調講演には、コンシューマー事業部門CEOのリチャード・ユー氏が登壇。「ファーウェイによるAIへの取り組みの成果として、『モバイルAI』を発表する」と述べた(写真2)。
「モバイルAI」についてユー氏は言葉を続ける。「個人的知性」(Indivisual Intelligence)と「集団的知性」(Collective Intelligence)の違いに触れつつ、「人間はこの2種類の知性を組み合わせることで生活をしている。モバイルでも、端末上のAIとクラウドのAIを組み合わせるのがベストだ」として、「オンデバイスAIとクラウドAIの組み合わせを、ファーウェイは『モバイルAI』と呼ぶ」と定義した。
クラウド上でのAIが急速に進化する一方で、端末におけるデバイスAIはまだ発展途上であるとして、ユー氏は「パーセプション(知覚能力)」「コグニション(認識能力)」「セキュリティ」「処理能力」という4つの課題を挙げた。
知覚能力については、「人間が視覚から大半の情報を得るように、スマホの場合はカメラを用いる。単に写真を撮るだけでなく、シーンやオブジェクトを認識することが必要だ」と指摘した(写真3)。
またマイク性能については、「スマホのマイクで背景ノイズの中から人の話を聞き分けることは難しい。どのような感情を込めているかを認識することも重要だ」と語った。
さらにセキュリティについては、プライバシーを守るためにローカルで処理することが重要であること、処理能力については消費電力が大きな課題になることを指摘し、これらを解決するAIプロセッサを搭載した新しいSoCとして、「Kirin 970」を発表した(写真4)。