地銀の経営統合による勘定系争奪戦の行方を予想してみる。

 福岡銀行と長崎県の親和銀行、熊本銀行を傘下に持つFFGと長崎県・十八銀行の経営統合が実現すれば、FFGと広島銀行が共同利用する基幹システムへの片寄せが確定的だ。地銀全体で3位の福岡銀を傘下に抱えるFFGと十八銀との間には、預金残高で約10兆円の差がある。

 一方で、2015年10月に経営統合した熊本県の肥後銀行と鹿児島銀行はほぼ同規模。システム統合の方針は想定しにくい。

 肥後銀は青森県のみちのく銀行とLinuxで稼働する勘定系システムの導入に着手していることが判明した。担当ベンダーは日立。同社が静岡銀行と開発中の新パッケージとコンセプトは同じだ。一方、「BankVision」を採用する鹿児島銀の勘定系は2011年に稼働したもの。

 最新の機能やニーズを盛り込んだ肥後銀行側に片寄せする可能性が高くなってきた。ただし、2行での並行稼働を保つ道も残る。

 新潟県の第四銀行と北越銀行による経営統合は、預金残高が北越銀の2倍近い第四銀が使う「TSUBASA」に統合するのが順当だ。

 悩ましいのは三重銀行と三重県の第三銀である。規模の面では大差ないが、第三銀は第二地銀。常道ならば三重銀に片寄せすることになる。ただ三重銀はNECの勘定系システムを単独利用している。第三銀は日立の「NEXTBASE」を利用しており、コスト削減にもつなげやすい。統合先としてNEXTBASEを選ぶ可能性もある。