「RPA(Robotic Process Automation)」について実践的な内容を分かりやすく説明するこの連載は、早くも第4回となった。第1回ではRPAの概要と注目を集めている背景を、第2回第3回では「RPAツール」の仕組みや特徴を紹介した。

 今回と次回は、RPAをどのような業務にどう適用するのかを具体的に見ていく。今回は他の業種に先駆けてRPAを採用した金融機関の事例を取り上げ、次回に一般企業の事例を紹介する。

「1件当たり数分の削減」でも大きな効果

 金融機関の話に入る前に、どのような業務がRPAに向くかをおさらいしておこう。よく言われるのは、繰り返し型の定型業務である。システムへの転記や入力、複数システムの情報照会といった、人間がPC上で行うオペレーションが典型例だ。

 これらの業務はルールが明確でロジックとして表現しやすく、自動化しやすい。特に金融機関では繰り返し型の業務が多く、自動化により大きな効果が得られると期待される。

 複数のシステムやウィンドウをまたいだ作業が必要になる場合、Excelのような単一アプリケーションのマクロなどで自動化するのは難しい。だからといって、新たにシステムを構築するのでは手間やコストがかかる。

 前回紹介したRPAツールを利用すれば、安価で手軽に業務を自動化できる。ツールを使うと、従来はIT化しにくかった収益を生まない業務や収益性の低い業務なども対象にできる点もメリットと言える。

 筆者が所属するNTTデータが手掛けたプロジェクトの経験では、RPAの適用候補業務として挙がった業務であれば、RPAを適用すると業務のおおむね8割を自動化できる。削減効果が1件当たり数分程度だったとしても、業務量が多ければ多いほど大きな効果が見込める。

 ここまで押さえたうえで、金融機関の事例に話を進めよう。