モノをインターネットにつなげるIoT向け無線通信技術のLPWA(Low Power, Wide Area)。全国各地でLPWAネットワークの構築が進められているが、この夏“熱かった”のは福岡市だ。

福岡市がLPWA網を開設

 2017年7月末、福岡市はNTTネオメイトとNTT西日本、地元のIoT機器メーカーであるBraveridgeからの提案を受け、市の事業としてLPWAのネットワークを構築した。その名も「Fukuoka City LoRaWAN」。市内にLoWaWANの基地局に相当する「ゲートウエイ」を設置し、IoTの実証実験用として提供する。ネットワークの構築・運用はNTTネオメイトが担当する。

 9月末までに5つのエリア(中央区、博多区、早良区百道浜、東区箱崎、西区本岡)で順次開通。数は未確定だが、各エリアに複数のゲートウエイを置くことになりそうだ。これで市内の約7割のエリアをカバーする。その他のエリアは、ニーズに応じて開通する計画。福岡市は「LPWAの街」を目指しているわけだ。

Fukuoka City LoRaWANの提供エリア。エリア名が書いてある場所は9月まで優先的に開通する。その他の青色になっている場所は、ニーズがあれば開通する。地図データは福岡市提供
Fukuoka City LoRaWANの提供エリア。エリア名が書いてある場所は9月まで優先的に開通する。その他の青色になっている場所は、ニーズがあれば開通する。地図データは福岡市提供
[画像のクリックで拡大表示]

 Fukuoka City LoRaWANは、IoTでビジネスを創りたいと考えている企業や団体が利用できる。申し込みが必要で、料金はかからない(ただし実証実験ではない商用利用は有料)。利用希望者の所在地が福岡市内になくてもよい。福岡市 創業・立地推進部の渕野 健太 新産業振興係長は、「福岡市に事業所がないと利用できないのかという質問はよく受けるが、それは全く関係ない」と説明する。

 さらに希望者には、BraveridgeがIoTデバイスの開発をサポートする。NTT西日本は、ビジネス化をサポートしたりイベントやセミナーを開催したりする。今後は、LoRaWANデバイスの無償貸し出しも始める予定だ。LoRaWANデバイスの購入を考える企業に対しては、助成金制度も設けている。この制度には審査があるものの、福岡市内での実証実験に使うのであれば市外の企業も応募できる。

 かなり力を入れていることがうかがえるが、福岡市はどのような狙いでLPWAのサービスを始めたのだろうか?