Q

APIとはなんですか。金融サービスにおけるAPIの意義について教えてください。

A

次世代の銀行ビジネスモデルの制度的基盤となるオープンバンキング構想を実現するうえでカギとなる技術の一つです。銀行をプラットフォームとして、サードパーティーとの間でアプリを通じて安全なデータ連携を実現することで、金融サービスの利便性の飛躍的な向上が期待されています。

 API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)とは、主にインターネットを通じたソフトウエア同士のデータ連携を可能にする技術標準をいいます。APIは、それぞれのソフトウエアが接続するメカニズム、ソフトウエアが利用できるデータと機能、それぞれのデータと機能を利用する際に従うべきルールを定めています。これにより、ソフトウエア同士が相互にデータを連携できるようになります。

 APIは多くの場合、一つの組織内部でのデータ連携の手法として使われます。最近では、異なる組織間でのデータ連携の手段としてAPIを利用するケースが増えています(いわゆるパブリックAPI)。

 身近なケースとして例えば、Facebookによるデータ連携が挙げられます。様々なサードパーティーのアプリケーション(アプリ)はFacebookのAPIを利用して、ユーザーがFacebookに提供しているデータにアクセスし、アプリ上でそれらのデータを利用できます。これによって、ユーザーは自らの意思によりFacebookに提供した様々なデータを他のアプリでも簡単に利用できますし、アプリ提供者はFacebookに蓄積されたユーザーのデータを活用して高品質のサービスを提供できるようになります。

 データ連携にはネットワーク効果が働くので、APIを利用するサービスが増えれば増えるほど、それぞれのデータの接続性の範囲が広がり、利便性が高まっていきます。APIが世の中を劇的に便利にしていくイノベーションであるといわれているのは、このためです。

パブリックAPIでプラットフォーム化を推進

 パブリックAPIの活用戦略としては、元となるサービスをプラットフォーム化して、その上で様々な事業者がエンドユーザーにサービスを提供できるようにします。そうすることで、多様なイノベーションを生み出すことにつながります。

 例えば、米アップルがサードパーティー向けに提供しているパブリックAPIを使えば、サードパーティー製アプリは、iPhoneなどが搭載するカメラやGPSセンサーなどのソフトウエアや、写真、連絡先などのデータに接続し、利用できます。一般ユーザーはアップルの「App Store」を通じて、こうしたアプリを入手することが可能です。

 アップルはこのようにして、App Storeや、App Storeとひも付くiPhoneなどのアップル製品をプラットフォーム化することに成功しました。これは同社に膨大な利益をもたらすと同時に、サードパーティーやユーザーにも大きな恩恵をもたらしました。パブリックAPIを利用することで、サードパーティーがユーザーに対して革新的なサービスを届けられるようになったからです。