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FinTechを理解するQ&A

証券分野ではどのようにFinTechに取り組めばよい?

増島 雅和=森・濱田松本法律事務所 2017/08/28 日経FinTech
出典:※FinTechの法律 2017-2018
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧

Q

証券分野ではどのようにFinTechに取り組めばよいでしょうか。

A

銀行と同様、証券ビジネスでもAPIを活用したプラットフォーム型のビジネスモデルを追求するという戦略が成り立ちます。

アンバンドリングで先行する証券

 FinTechは、既存の金融機関が複数の機能を統合して顧客に対して一気通貫して提供するモデルであったものを、機能別に分解し、必要に応じてこれをアライアンスにより組み合わせることで同等のサービスを顧客に提供するモデルです。今後の金融規制は、事業体に着目して全体に厳格な規制を課すアプローチから、機能に着目してその機能に対して過不足ない規制を課すアプローチに変化していくのではないかと見る者も少なくない中、証券分野の規制である金融商品取引法は、既にこれに近いアプローチが採用されています。

 これにより、証券分野でFinTechに取り組む事業者は、自らが従事するサービスの機能に着目して、その機能を規制する許認可を取得してビジネスを行うということができるようになっています。

 日本では、証券の分野は、サービス・コンテンツのレイヤーで貸付型クラウドファンディング(これは匿名組合出資を募る第二種金融商品取引業の資格のもとで組成されます)、投資型クラウドファンディング(ファンド型・株式型)、デジタル投資アドバイス(ロボ・アドバイザー)の各領域でそれぞれいくつかのFinTechスタートアップ企業が生まれているほか、販売のレイヤーで金融商品仲介ビジネス、これに至る前の投資教育、見込み客の集客を取扱うスタートアップ企業も生まれています。

 いずれもITをフル活用して少組織ながら規模の拡大が可能なビジネスモデルを追求しており、現状はアーリーアダプターを中心に比較的規模が小さなビジネスとなっていますが、着々とデータを蓄積しながらサービスを磨いており、ディスラプション(破壊)の理論に忠実なシナリオを描いているといえます。

既存の証券業者の戦略は

 既存の証券業者は、銀行と同様、人材と古いシステム、ネット専業でない者は店舗を抱え、現在のビジネスを可能な限り維持しながら、ディスラプションの波に巻き込まれないよう、新しいデジタル技術を取り込もうと様々な試みを行っています。その方向は大きく、既存サービスの高度化、バックエンド部門の効率化、次世代技術の実験、API戦略の推進、の4つに整理することができるでしょう。

 既存サービスの高度化は、これまで提供してきたサービスにAIを含む新たなIT技術を導入することで、コンテンツに付加価値をつけたり、提供のスピードを早めたりするものです。同様に、バックエンド部門の効率化も、新たなITの導入により、従前のプロセスを機械に代替させることで簡素化したり、従前よりもオペレーショナルなミスを減らすなど質の改善を図ったりするものです。これらの多くはインクリメンタルイノベーション(連続的で漸進的な変化をもたらす技術革新)に分類されるものですが、例えば10倍性能を高めたり10倍早く提供できたりするものを開発できればディスラプティブなイノベーションとして評価され、既存の業界の競争構造に大きなインパクトを与えるはずです。

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