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FinTechを理解するQ&A

スマートコントラクトとはなんですか?

増島 雅和=森・濱田松本法律事務所 2017/08/25 日経FinTech
出典:※FinTechの法律 2017-2018
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧

Q

スマートコントラクトとはなんですか。分散型台帳技術の契約取引への応用について教えてください。

A

マシン語によって書かれた契約をいい、プログラムの実行がすなわち契約の履行となるという姿を想定しています。分散型台帳技術のプログラマブルな性質を利用すると、帳簿の更新を条件づけることで分散型台帳技術はスマートコントラクトを実装する有力な方法と目されています。

 分散型台帳技術(DLT)の大きな特徴として、プログラマブル(一連の作業指示を与えられる)であることが挙げられます。この特徴を帳簿記録としての性質に引き直して表現すると、帳簿記録の更新の条件を、帳簿を実装しているDLT自身において記述し、条件の成就によりプログラムに従って帳簿を更新することができると表現できます。

 既に見たように、帳簿が特定の資産の残高を表示するものであるとすれば、帳簿の状態をAからBに変更すること、およびその変更のための条件を記述するプログラムコードは、契約書における条項と機能的には同じということになります。

 しかも、DLTによって実装されたプログラムコードは、執行面において契約書と際立って異なる特徴を獲得することになります。すなわち、契約書は「何を合意したか」を明確にする機能を持つものの、それ自身は合意した内容を執行する機能を持ちません。契約書は、裁判所を始めとする紛争処理機関において債務名義を獲得することによって、国の執行機関の手を借りて強制的に執行されるというアーキテクチャが採用されているのです。

 これに対して、DLTによって実装されたプログラムコードは、プログラムそれ自身によって分散型帳簿の記録を更新してしまいます。分散型帳簿が特定の資産の残高を表示しているのであれば、プログラムの実行自体が資産移転の執行を意味することになります。すなわち、契約書と異なり、紛争処理機関による債務名義の獲得も、国の執行機関による強制執行も経由することなく、取引を強制的に執行することができることになります。

 しかも、DLTには暗号署名とあいまってシステムとしての完全性が備わっているため、契約書と異なり偽造することもできなければ改ざんすることもできません。

 DLTのプログラマブルであるという側面を強調し、帳簿記録の更新の条件の記述、およびその条件成就の際の更新実行の自動性に着目すると、「DLTは契約書を実装することができる」と言えるでしょう。当事者間の意思表示の合致を意味する契約を、紙(自然言語で表示される電子的記録を含みます)ではなく機械によって実装するものは、しばしばスマートコントラクトと呼ばれます。DLTは、その特徴からスマートコントラクトの実装と相性の良い技術であると見られています。

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