まだ、Windowsの影すらない頃、「モバイルPC」は大変なシロモノだった。江戸時代の拷問に正座した膝の上に平たい石を載せる「石抱(いしだき)」というものがあるが、初期のノート型PC、いわゆる「ラップトップ」は、そんな感じだった。
写真1は、IBM PC互換機初のラップトップマシン「Data General One(DG One)」である。米Data General(データゼネラル)は、1999年に米EMC(当時、現在の米デルEMC)に買収されて既に存在していないが、かつては米DEC(ディジタルイクイップメント)に次ぐミニコンメーカーだった。
DG Oneは11インチの液晶ディスプレイを備えており、外形寸法は29.7×34.8×7.1cm、重量は4.1kgだった(表1)。3.5インチFDDを内蔵しており、PC-DOSが利用できるIBM PC互換機だ。ちなみに当初の価格は最小構成で2995ドル。当時の為替レートと消費者物価指数を考慮して、2016年の金額に換算すると83万円相当になる。
CPU | 80C88(4MHz) |
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RAM | 256KB~512KB |
ストレージ | 3.5インチFDD×1または2 |
ディスプレイ | 11インチLCD/640×256ドット |
サイズ | 11.7×13.7×2.8インチ(29.7×34.8×7.1cm) |
重量 | 9ポンド(4.1kg) |
動作時間 | 最大8時間 |
価格 | 2995ドル~(現在の83万円相当) |
あまり知られていないが、このDG Oneは日本製である。製造には、日本・データゼネラルが関与していたという。内蔵しているFDDや主要な部品も多くが日本製だ。当時の日本は、IBM PC互換機の製造を請け負う企業が多く、国内で製造されたパソコンの半数は輸出用のIBM PC互換機だった。
DG Oneとは一体どんなマシンなのか
本体を上から見たとき、キーボード(写真2)の下には何もなく、後部は、左側がFDD(写真3)、右側がメインボードとバッテリーというレイアウトになっている。ただし、シリアル、パラレルなどのインタフェースは、後部の3.5インチFDDの上に基板がある(写真4)。バッテリー(写真5)は、メインボードの後半と重なるように配置されている。