格安SIMの普及に伴い、着実に販売台数を伸ばすSIMフリーのスマートフォン。端末メーカー間の競争は熾烈になり、順調に売り上げを伸ばすメーカーがある一方で、苦戦を強いられているメーカーもある。

 例えば、2016年までは、ASUS、ファーウェイ、フリーテル(プラスワン・マーケティング)がSIMフリーの“3強”と呼ばれていたが、今年の上半期は、ラインナップを拡張したファーウェイが大きくセールスを伸ばす一方、フリーテルは昨年に発表済みの1機種をリリースしたのみと精彩を欠いた。現在は、ファーウェイとASUSが“2強”で、モトローラ・モビリティが第三極の座を狙っているという構図だろう。

 フランスのベンチャー「Wiko」や、米国の「BLU」など、新たに日本市場に参入したメーカーもあるが、日本で定期的に端末を投入できるメーカーになるか否かは、まだなんとも言えない。一方、オンキヨーが開発したハイレゾ対応スマホ「GRANBEAT」のように、大手キャリアからはリリースされない個性的なモデルが注目を集めたことも今期の特徴と言えるだろう。

 各メーカーの強みはどこにあるのか。2017年1月〜6月に発売されたSIMフリースマホの中から、目的別のおすすめの機種を振り返りながら探っていこう。

メイン端末として使うのなら、3万円台のオールラウンドモデルを

 大手キャリアから格安SIMに乗り換えて、メイン端末として使うのであれば、価格だけでなく性能面でも満足できる機種を選ぶべきだ。SIMフリースマホの本体価格は、キャリアのスマホよりも割安なので、3万円台でも「ミドルクラス」あるいは「ハイミドル」と呼べる機種を購入できる*1

 まず、おすすめしたいのがモトローラ・モビリティの「Moto G5 Plus」だ。

4GBメモリーを搭載し、サクサク操作できる「Moto G5 Plus」。後方は5インチ画面の下位モデル「Moto G5」
4GBメモリーを搭載し、サクサク操作できる「Moto G5 Plus」。後方は5インチ画面の下位モデル「Moto G5」
(撮影:村元 正剛)
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 2.0GHzのオクタコアCPU、4GBのRAMを搭載し、軽快な動作性が得られることが特徴。5.2インチのフルHDディスプレイを搭載し、暗い場所でもピントが合わせやすいデュアルピクセルAFに対応するカメラも備えている。さらに、指紋センサーを搭載し、2枚のSIMを装着して、4Gと3Gで同時待ち受けができるデュアルSIMデュアルスタンバイ(DSDS)にも対応している。実売価格は2万9080円(税別)で、コストパフォーマンスも抜群によい。

 対抗軸として検討したいのが、ファーウェイの「HUAWEI P10 lite」と「HUAWEI nova」だ。

ハイミドルスペックで2万8590円(税別)の「HUAWEI P10 lite」
ハイミドルスペックで2万8590円(税別)の「HUAWEI P10 lite」
(出所:ファーウェイ・ジャパン)
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DSDSにも対応する「HUAWEI nova」は3万4400円(税別)
DSDSにも対応する「HUAWEI nova」は3万4400円(税別)
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 HUAWEI P10 liteは、大ヒットした「P8 lite」「P9 lite」の後継モデルで、最大2.1GHzのオクタコアCPU、3GBのRAM、5.2インチのフルHDディスプレイを搭載するモデル。HUAWEI novaは若年層をターゲットとする新モデルで、日本では今年2月に発売された。2.0GHzのオクタコアCPU、3GBのRAM、5インチのフルHDディスプレイを搭載し、スペックでは大きな差はない。ただし、HUAWEI novaはDSDS対応だが、HUAWEI P10 liteは非対応という違いはある。

*1 2017年7月に入ってからの機種を見ると、防水・防塵、おサイフケータイ、ワンセグといった日本のキャリアスマホでおなじみの機能を使い続けたいユーザーには7月20日に発売された富士通コネクテッドテクノロジーズ製の「arrows M04」がおすすめだ。価格は3万6330円(税別)。昨年7月に発売されて以来、ロングセラーを続けた「arrows M03」の後継機で、ハンドソープなどで洗える機能も追加されている。