この記事を読んでいる皆さんは普段どんなWebブラウザーを使っているだろうか。毎日長時間使うブラウザーだけに、最初からPCやスマートフォンに搭載されたデフォルト以外のブラウザーを使いこなしているという人も多いかもしれない。

 インターネットではInternet Explorer(IE)やSafari、Google Chromeといったデフォルトのブラウザーが高いシェアを占める。しかしシェアはわずかでも、使い勝手の良さや素早い動作などにこだわりを持ってブラウザーを作り続けているベンダーがある。

 どんな開発者がどのようなニーズをつかんでブラウザーを作っているのか。デフォルトではないブラウザーの開発者が一堂に会してWebの未来を語るというイベントが2017年6月30日、ヤフー本社内のコワーキングスペース「LODGE」で開かれた。

 題して、「デフォルトじゃないブラウザの会」(写真)。

写真●Fillamentの角勝氏(左)とヤフー 執行役員CMOの村上臣氏の司会でスタート
写真●Fillamentの角勝氏(左)とヤフー 執行役員CMOの村上臣氏の司会でスタート
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 司会のFillamentの角勝氏とヤフー 執行役員CMO(チーフ・モバイル・オフィサー)の村上臣氏によると、Webエンジニアやデザイナーらブラウザーマニアの参加申し込みが相次ぎ、増席に増席を重ねて67人が集まった。

開発者4人がそれぞれブラウザーを紹介

 イベントは、開発者4人がそれぞれブラウザーを紹介するライトニングトークで幕を開けた。

 最初に登壇したのはガラケー向けの「jigブラウザー」を開発したjig.jp社長である福野泰介氏である。jigブラウザーは発売以来、実に14年という老舗。現在も月額648円で販売している。「世界一高額なブラウザー」(福野氏)と紹介して会場を沸かせた。(写真)。

写真●jig.jp社長の福野泰介氏
写真●jig.jp社長の福野泰介氏
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 福野氏は「ブラウザーが好きというよりはWebが好き」という。誕生して28年ほどのWebは誰でも情報発信できる。jig.jpは企業としてWebで使われる技術の標準化団体であるWorld Wide Web Consortium (W3C)に参画している。

 福野氏はW3CでWebの生みの親であるティム・バーナーズ・リー氏に本人とは知らずに出会ったのをきっかけに、HTMLではなくRDF(Resource Description Framework)で記述されるオープンデータの普及に力を入れていると語った。RDFではコンピュータがデータを自動的に扱えるようにできる。