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THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2017 TOKYOレポート

二人の論客が語った期待と危惧、日本の金融機関の行く末

髙田 学也=日経FinTech 2017/08/10 日経FinTech

 デジタルガレージが2017年7月25日~26日に都内で開催した自社イベント「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2017 TOKYO」。「ブロックチェーン」がテーマだった2日目、金融機関の一部参加者を招待しランチョンセミナーが開かれた。「情報技術による金融機関の行動変化とその課題」と題し、米MITメディアラボ所長の伊藤穰一氏と日本銀行FinTechセンターの元センター長で京都大学教授の岩下直行氏が金融機関の現状と今後の展望について議論を行った。日経FinTechの原隆編集長がモデレーターを務めた本セッションの模様を紹介しよう。

写真●ランチョンセミナー「情報技術による金融機関の行動変化とその課題」では、金融機関の現状と今後の展望について議論を行った
(撮影:山西 英二、以下同)
[画像のクリックで拡大表示]

 まず、2017年5月に国会で成立した改正銀行法が金融機関に与えるインパクトについて、岩下氏と伊藤氏がどう見ているかについて意見を述べるところから議論がスタートした。

:2018年春にも施行される改正銀行法では、金融機関に対してAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)公開の努力義務が求められることになった。これについてどう見ているか。

岩下氏:なぜ今、APIの公開が金融機関に求められるのかといえば、それはオープンイノベーションが必要だからだ。インターネット産業に代表されるように、WebAPIによって相互にサービスがつながるのが今の時代。にもかかわらず、銀行だけが閉域で相互にデータを交換する仕組みだった。それは非効率的である。銀行にAPI公開を求めることによって、オープンなイノベーションを誘発し、ユーザー体験を向上できるようになる。銀行のシステム開発に与える影響は大きい。

伊藤氏:銀行にAPI公開を求める今回の法改正は、良い意味で驚いた。かつてインターネット黎明期に私は銀行などをまわったが、各行とも「いかにうちの銀行はITにお金を使っているか」を自慢していた。「いかにお金を少なく使っているか」を話してきたのは、新生銀行だけだった。

 デジタルガレージはそのころ米ツイッター(Twitter)に投資したが、Twitterはサービスでなく「フィーチャー(機能)」だと評価する声が大きかった。というのも、TwitterはAPIを当初から公開する戦略をとっていたため、APIを活用してTwitterを便利にする関連ツールがいくつも登場した。もちろん日本語に対応したものも多く、日本でTwitterが成功する原動力になったからだ。

 つまり銀行がAPIを公開すれば、スタートアップ企業がさまざまな実験をしやすくなるのがメリットだ。スタートアップ企業の試みは失敗することが少なくないが、銀行自らが実験するのではなく、APIを活用するスタートアップ企業に挑戦の機会を与える今の流れは適切だと映っている。

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