課題を分解しようとすると、いわゆる「MECE」の呪縛にとらわれる人が非常に多い。MECEとは「漏れなく、ダブりなく」と訳されることが多く、ロジカルシンキングの講義や教科書ではまるで呪文のように、何度もMECEを擦り込まれる。するとMECEを100%満たすことが「ロジカルシンキングの絶対的な正解なんだ」と思い込んでしまいがちになる。

 だがMECEを完全に満たすのは到底困難だ。「それはとてもできない」と感じ、そこで立ち止まり、悩んでしまう人をよく見かける。そのたびに「本当にもったいないな」と私は残念に思う。

 思いつく要素をとりあえず並べてみて、一通り眺めただけで「これで全部かな、MECEを満たしているかな」と考えてみたところで、その問いへの答えは見つからない。それよりも「目的に合ったカテゴリー」を考えることで、論理的に「抜け・漏れを最小限にとどめること」と「切り口が適切であること」の両方を確認するほうが実行しやすいし、何より現実的だ。

「使うシチュエーション」で分けてみる

 さて前回、途中まで作ったツリーをもう一度、見てみよう。ユーザー目線で最初のカテゴリーを「使うシチュエーション」というカテゴリーで分けてみた。

ノートブックとデスクトップの区分けの先には何があるかを考える
ノートブックとデスクトップの区分けの先には何があるかを考える
(出所:データ&ストーリー)
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 いきなり「ノートブック」や「デスクトップ」のように製品タイプで分類してしまうと、「ほかにどんな製品タイプがあったかな?」という、本質ではない問題で悩み始め、時間を無駄にしてしまう。

 それよりも「外に持ち出せる製品は何か」という切り口であれば、発想がわきやすい。しかも、なぜその製品(群)を挙げたのか、妥当性も説明できる。