データ分析に「正解」は存在しない。正解がないので「正しい答えはどこか」や「自分が出したアウトプットは正解にどれだけ近いのか」と悩むこと自体、ナンセンスといえる。これが私の持論だ。

 とはいえ、目の前の課題や目的に対して、成果が出るようなアウトプットの質など、「結果が生み出す価値の違い」は明らかにある。その違いを生み出す大きな要因は必ずしも、使うツールやアプリケーションによらない。むしろ“道具”だけ強化しても、大きな違いは生まれないと、私は考えている。

 では、何が必要か。本連載では、データ活用や課題解決プロセスの入り口で大きく勝敗を分ける「課題の分解」に焦点を当てる。分解スキルを上げるため、読者のみなさんと一緒に試行錯誤していきたい。

柏木 吉基(かしわぎ よしき)
データ&ストーリー代表
柏木 吉基(かしわぎ よしき) 慶応義塾大学理工学部卒業後、日立製作所入社。米ゴイズエタ・ビジネス・スクールでMBA(経営学修士)取得。2004年に日産自動車に入社。海外マーケティング&セールス部門、組織開発部ビジネス改革チームマネージャを歴任。2014年10月に実務データ分析トレーナーとして独立。日経情報ストラテジーでは「間違いだらけのデータ分析」「マネジャーのためのデータリテラシー講座」「あまのじゃくなロジカルシンキング」を連載。同様のテーマのセミナーは現在も継続中。主な著書に『日産で学んだ 世界で活躍するためのデータ分析の教科書』『データ競争力を上げる上司、下げる上司』(いずれも日経BP社)がある。多摩大学大学院客員教授も務める。