ロボットが自ら考えているかのように箱の中の商品を判別し、別の箱に移していく──。2017年7月27日〜30日、世界をリードするロボットの競技会「アマゾン・ロボティクス・チャレンジ」が愛知県名古屋市で開かれた。世界10の国・地域から16チームが参加し、賞金総額25万ドルを争った。

 アマゾン・ロボティクス・チャレンジが日本で開催されるのは初めて。2017年が第3回目にあたる。2015年、2016年は「アマゾン・ピッキング・チャレンジ」としてそれぞれ米国、ドイツで開催。今年から名称を変更した。主催は米アマゾン・ドット・コムの子会社アマゾン・ロボティクスである。

 競技内容は、各チームの開発したロボットが箱に入れられた複数の商品から目的の商品を取り出して移動するというもの。一定時間内にどれだけ多くの商品をどれだけ正確に移動できるかが勝負となった。

アマゾン・ロボティクス・チャレンジの会場の様子
アマゾン・ロボティクス・チャレンジの会場の様子
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アマゾン・ロボティクス・チャレンジのマサチューセッツ工科大学とプリンストン大学の合同チームのブース
アマゾン・ロボティクス・チャレンジのマサチューセッツ工科大学とプリンストン大学の合同チームのブース
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 「例えて言うなら(ロボットの)オリンピックのようなものだ」とアマゾン・ロボティクスのチーフテクノロジストであるタイ・ブレイディ氏は説明する。

 競技で対象となった商品は、ティッシュペーパーや大学ノート、手袋、はさみといった日用品。これらの商品を箱から取り出して移動させるという作業は、アマゾン・ドット・コムの物流倉庫を想定しているようにみえる。

 ただ「物流倉庫に限った作業を想定してた競技ではない。例えば医療現場などでも活用できる」とブレイディ氏は説明する。ロボットがものを見て判断し、つかんで移動するといった動作は応用がきくというわけだ。

米アマゾン・ロボティクスでチーフテクノロジストを務めるタイ・ブレイディ氏
米アマゾン・ロボティクスでチーフテクノロジストを務めるタイ・ブレイディ氏
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 28日、29日に競技が開かれ、成績の良かった上位8位のチームが30日の決勝ラウンドに進出した。決勝ラウンドではオーストラリアから参加したチームACRVが優勝した。日本勢からは奈良先端科学技術大学院大学とパナソニックの合同チーム「NAIST-Panasonic」が6位と健闘した。

参加チーム
チーム名大学・組織拠点となる国・地域
MC^2三菱電機、中部大学、中京大学日本
NAIST-Panasonic奈良先端科学技術大学院大学、パナソニック日本
Team T2鳥取大学、東芝日本
Team K東京大学日本
MIT-Princetonマサチューセッツ工科大学、プリンストン大学米国
Team Dukeデューク大学米国
PLAIDカーネギーメロン大学米国
GMU-Negevジョージメイソン大学、ネゲヴ・ベン=グリオン大学イスラエル
ACRVクイーンズランド工科大学オーストラリア
IITK-TCSインド工科大学カーンプル校、タタ・コンサルタンシ―・サービシズインド
TKU M-Bot淡江大学台湾
Nanyang南洋理工大学シンガポール
NimbRo Pickingボン大学ドイツ
UJI RobInLabジャウメ1世大学スペイン
Applied Roboticsスマートロボティクス、シドニー大学オーストラリア
IFL PiRoカールスルーエ工科大学、ヘルムートシュミット大学ドイツ