前回の記事で解説した通り、米AMDのEPYCは技術的にはかなりサーバー市場で競争力のある構成になっている。ただ、サーバー市場はある意味非常に保守的でもある。AMDのプラットフォームはどこまで食い込めるのか。
サーバーはPCに比べて高い信頼性と性能が求められる。この性能とは、ピーク性能の高さではなく、例えば24時間・365日フル稼働しつつ、しかも平均的なワークロードが高めといった、いわば「持久性能」である。
持久性能は単にCPUだけ提供すれば得られるわけではない。マザーボードや周辺コンポーネント、電源などを含めたシステム全体の設計が重要であり、実現にはノウハウの蓄積が必要だ。保守的にならざるを得ないのは、こうしたノウハウを生かすには大きな変化のあまりない“堅め”の構成が便利だからだ。
ノウハウを含めたシステム全体は、AMDだけは提供できない。ハードウエアとソフトウエアだけでなく、サポートまでを含んだ総合的なソリューションを持つサーバーメーカーとの協力が不可欠になる。
HPEやデルEMCがEPYC搭載サーバーを出す
米ガートナーによる2016年第2四半期の集計だと、売上では米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)、米デルEMC、米IBM、中国レノボ、米シスコシステムズ、出荷台数ではデルEMC、HPE、レノボ、中国ファーウェイ、中国インスパーがそれぞれトップ5を占めている。
このうちIBMはx86ではなくPowerベースの製品であることを考えると、x86のトップ3といえばHPE、デルEMC、レノボになる。EPYCの発表会ではこのトップ3との協業が発表された。実際基調講演の際にはHPEのCloudline CL3150(Photo02)やDellのPowerEdge(Photo03)がどちらも2017年後半に出荷開始されることが明らかにされた。