荷物の急増や人手不足で日本の物流業界から悲鳴が上がる中、官民が中長期的な対策として力を入れているのがドローン(小型無人機)を使った宅配サービスだ。

 ドローン宅配の実用化に積極的な1社が国内ネット通販大手の楽天である。2016年5月に始めた「そら楽」は、ゴルフ場にいるプレーヤーにドローンがゴルフ用品や飲み物などを届けるサービス。同社は2016年11月には千葉市内の国家戦略特区で、NTTドコモなどとドローン宅配を実証実験した。物流業界も関心が高く、日本郵便が各地の自治体との実験に積極的に取り組んでいる。

写真 KDDIが実験に使った宅配用ドローン
写真 KDDIが実験に使った宅配用ドローン
(出所:KDDI)
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 国内のドローンは現状、2015年末に施行された改正航空法によって飛行方法や飛行空域などが厳しく制限されている。人口密集地は飛行禁止で、それ以外の地域でも昼間に機体を目視で確認できる範囲のみ飛ばせる。目視できない遠隔からの操作などは地方航空局長の承認が必要になる。

 政府は2018年をめどに規制緩和を進める方針だ。離島や山間部への荷物配送を可能にする無線技術の実用化を前提に、認可の仕組みを設ける。こうした動きを見越して大手携帯電話会社のNTTドコモやKDDI、ソフトバンクは相次いで、携帯電話網を使いドローンを遠隔操作する技術を開発している。例えばKDDIは2017年5月、新潟県長岡市山古志で4G(LTE)通信を使った完全自律飛行実験を実施したと発表。2キロメートル離れた場所に食品を届けることに成功した。