ITを活用した常識破りの宅配方式で過剰サービス問題に挑む企業はほかにもある。2017年5月設立のMagicalMove。ソフトバンクグループで新規事業を手掛けるSBイノベンチャーが設立した。

 MagicalMoveはEC事業者と提携し、宅配を請け負うサービス「Scatch!」を提供する。同社の宅配サービスは早朝・深夜専門だ。顧客が配達指定できる時間帯は、早朝なら午前6時から9時まで、深夜は午後9時から午前0時まで。それぞれ1時間単位で指定する。

 荷物は日中や夕方に配達するという常識を破った格好だ。狙いは「出勤前や帰宅後、就寝前といったピンポイントの配達需要」(武藤雄太社長)。時間を絞り込むことで不在再配達を減らす。

図 MagicalMoveの宅配サービス「Scatch!」
図 MagicalMoveの宅配サービス「Scatch!」
(出所:MagicalMove)
[画像のクリックで拡大表示]

 メーンの購入者層と想定するのは、日中に自宅を不在にしがちな単身者や共働き世帯だ。狙いは的中し、現在のところ「再配達率は著しく低い」(武藤社長)。

 同社は提携した配送会社に対して、AIを使って最適な配送ルートと配送に必要な車両数を提案するシステムを構築した。運送会社は管理画面を通じてこれらの情報を確認できる。現在はアスクルと提携し、同社が運営する個人向けECサイト「ロハコ」の商品の配送向けに、サービスを提供している。今後は提携先のECサイトを順次拡大していく。