今後のWindowsのアップデートでは、新機能「Windows Timeline」が搭載される予定だ。これは過去に行った作業や閲覧、視聴を記録し、後で再開したり、他のデバイスで継続することができる機能だ。それを支えているのが「Microsoft Graph」と「Project Rome」だ。これらは一体何なのか。Fall Creators Update以降のWindowsの方向性を読み解くために、Microsoft GraphとProject Romeを解説する。

 Microsoft Graphは、簡単に言うと「Office 365」や「OneDrive」、個人用無料メール「Outlook.com」といったクラウドサービス用のAPIセットだ。Project Romeは、Microsoft Graphを使って、ユーザーが利用しているデバイスの間でプログラムのリモート起動して、それぞれでの作業やWebやメディアの視聴、閲覧の履歴を管理する機能だ。

Microsoft Graphは、Office 365などのクラウドサービスにある情報に対してRESTアーキテクチャーのAPIを提供する。応答にはJSON形式が使われる。
Microsoft Graphは、Office 365などのクラウドサービスにある情報に対してRESTアーキテクチャーのAPIを提供する。応答にはJSON形式が使われる。
(出所:マイクロソフト)
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Project Romeは、WindowsやAndroid、iOS用のランタイムが提供される。アプリのリモート起動やデバイス間でのアプリ通信などができる。
Project Romeは、WindowsやAndroid、iOS用のランタイムが提供される。アプリのリモート起動やデバイス間でのアプリ通信などができる。
(出所:「Build 2017」プレゼンテーション資料)
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 Windows Timelineは、PCやスマートフォンでの作業や閲覧、視聴を記録し、ユーザーが利用デバイスを変えたときに、継続して作業や閲覧、視聴をできるようにする。

デバイスを変えても作業を継続できる

 スマートフォンでは、予定表や連絡先、メール、通話といった機能が標準で搭載されていて、これらの情報へアクセスするAPIがシステムとして提供されている。このため、サードパーティのアプリケーションから、予定を登録したり、連絡先にあるユーザーにメールを送信するといったことが可能だ。

 本来、この機能はプラットフォーム(狭義ではOS、Windows、Android、iOSなど)に固有であるため、異なるプラットフォームでは別のやり方をしなければならない。Microsoft Graphは、対象はマイクロソフトのクラウドサービスにある情報に限られるが、プラットフォームに依存せずに同じ手順で同様のことが可能になる。

 また、マイクロソフトは、同一アプリを複数プラットフォーム向けに開発する手段を提供している。Microsoft Graphを使うことで、連携する部分をプラットフォーム向けに書き換えることなく、ソフトを開発できるようになる。