アプリケーションやWebサービスの企画や設計を通じて、ユーザーの体験を改革するのが、UX(ユーザーエクスペリエンス)ディレクターの役割だ。デザイナーやシステム導入を担当するITエンジニアと連携し、顧客の生産性向上や業務効率化を支援する。

 ユーザーの使い勝手を改善することで、生産性向上や業務改革を支援する。こうしたプロジェクトに取り組んでいるのが、アクセンチュアの番所浩平氏だ。

 番所氏は、アプリケーションや新サービスについて、ユーザーインタフェースのデザインを担当するデザイナーや、アプリケーションから取得するデータを分析してフィードバックするデータアナリストなどを束ね、アプリケーションを利用した際のユーザーエクスペリンス(UX)全体を設計する業務を担っている。

 ここでの設計は、「これから開発するアプリケーションやサービス上で、どのような情報を出し、それを受けたユーザーが、どのように行動するか」までを踏まえたアプリケーションやサービスの在り方全体の設計を指す。

 番所氏は、最近では小売店舗のスタッフが利用するモバイルアプリの設計を担当。店舗スタッフの動作などを分析し、スタッフが日常業務に使いやすいモバイルアプリを追求して、業務効率の向上を支援した。そのほか金融や自動車、通信など手掛けるプロジェクトの幅は広い。

 「UXの設計は業務設計そのもの」と番所氏は強調する。アプリケーションのユーザーの業務を理解し、業務効率化や生産性の向上といった目的に沿ったサービスを企画。それを具現化するためのアプリケーションの設計までを担っている。

 顧客の業務を理解するためには、「顧客にヒアリングするだけでなく、現場での観察を重視する」(番所氏)。アプリケーションの想定ユーザーの1日に密着し、行動を観察することもある。

 顧客と一緒にアプリケーションの要件定義をする際には、画面デザインや画面遷移、操作性などが分かる程度のプロトタイプを事前に作成してから打ち合わせをする。「紙で操作性を示しても、使い勝手は分からない。要件定義の時にその場でプロトタイピングツールを使いながら、顧客の要望を反映することで、操作性を確認できる」と番所氏は話す。