企業のサービスやプロダクトの企画から開発、保守運用をリードするプロダクトマネジャー。経営層との折衝から、実装面での責任、各方面との折衝、サービスの最終責任、人材育成まで、役割は幅広い。

 現場で活躍する二人のプロダクトマネジャーを紹介しよう。

 楽天の脇水 誠氏は、楽天トラベルの観光パンフレット閲覧アプリ「PATW(パトゥー)」の企画段階から、プロダクトマネジャーを務める。2016年8月にiOS版を同9月にAndroid版を提供開始した。各国のパンフレットを日本語や英語などで読めるようにするサービスである。

 プロダクトマネジャーとしての最初の仕事は、Wishリストの作成だった。なぜこれが必要なのか(Issue)、どう役立つのか(Goal)、架空のストーリー(Scenario)、KPIをまとめたものだ。

 各関係者に承認を得たのち、Wishリストを基にPRD(プロダクト要求仕様書)を作成した。アプリの画面遷移やユースケースなど、詳細レベルの要求としてまとめたものだ。デザイナーと一緒に作成していく。

 ここでは「やらないこと」も記述する。いつどの機能をリリースするかといった計画も入っている。ステークホルダーの承認を得れば、これを開発メンバーやQA(品質保証)に渡し、開発に進む。

 開発のプロジェクトマネジャーも、担った。「ローンチして使われるサービスにするまで責任を持つ」。開発が終われば、QAとの橋渡しの役割も担うし、バグ対応も判断する。

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 開発者やデザイナー、マーケティングなど多くの関係者と話し合いながら設計を進める。そのため、必要な知識は多岐にわたる。開発能力はベースであり、デザインや旅行業界の知識、ITの流行も知っておかなければならない。品質のチェックなど、論理的な判断も求められる。サービスの規約を作る際には法務と話ができる必要がある。当然、コミュニケーション能力が問われる。