神奈川トヨタ自動車やトヨタカローラ横浜など16社を傘下に持つKTグループ(横浜市)が、IT展示会を開催した。前回までに「万脳手帳」と呼ばれるタブレットに人工知能(AI)を組み込んで、顧客への車や修理の案内内容を学習させ、最適な提案をサポートできるようにする「購買意思決定支援システム」や、実用化が間近な「自動外観検査システム」と「遠隔触診システム」を紹介した。

 そして今回は、伝送性だけでなく、整備工場などで扱う重量物の衝撃にも耐えやすいプラスチック光ファイバー直結の超小型4Kカメラを取り上げる。超小型4Kカメラは、KTグループが慶応義塾大学理工学部の小池康博研究室と東京大学発のベンチャー企業である先端フォトニクス(東京・目黒)、本多通信工業(東京・品川)と共同開発した。

超小型4Kカメラを使って、高精細映像を遅延なく伝送するデモ
超小型4Kカメラを使って、高精細映像を遅延なく伝送するデモ
(出所:KTグループ)
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 超小型4Kカメラを使い、販売店と整備の専門家がいる本部や板金工場をリアルタイムの映像と音声でつなぐ。これにより、販売店では判断できない難易度が高い損傷の修理や故障といった問題を、前回紹介したリアルハプティクスも併用して短時間で解決。顧客から車を預かる時間を短縮する。本部などに車を輸送する手間と時間も省く。

超小型カメラなら、見にくいエンジンの奥まで遠隔診断できる

 実際の利用場面としては、店舗の担当者が超小型4Kカメラで車のエンジンルームを映し、整備箇所の映像を離れた拠点にいる専門の担当者に送ることが考えられる。超小型4Kカメラなら人の目では見えにくい部位も、鮮明に映し出せる。

 こうした映像を見て、エンジンの細部まで遠隔で診断し、故障の原因を特定する。ここまでできるようになると「高難度整備支援システム」として、現場で実用化できるようになる。顧客対応が早まるばかりか、販売店のエンジニア不足も解消できる。