「上流工程は進捗管理が難しい。ストーリーに納得感があって、顧客に合意してもらえるドキュメントを作れていないと、いくら記述量が多かったとしても進捗はゼロだ」。ウルシステムズの植田 淳氏(マネージングコンサルタント)はこう言い切る。「プロジェクトマネジャーは、ドキュメントを作るメンバーの思考過程を把握する必要がある」。

 植田氏がその目的で使っている道具が、米Microsoftのデジタルノートアプリケーション「OneNote」である。OneNoteはPC上で動作する、文房具のバインダーノートのようなアプリケーションだ。実際のバインダーノートのように「ノートブック」(バインダーノート)、「セクション」(見出し)、「ページ」(ページ)といった単位で文書を作成して管理する。

 OneNoteは、複数のメンバーで同時に文書を編集できる。ファイルサーバーにノートブックのファイルを置き、各メンバーがそのファイルを開いて利用する。WordやExcelと違い、そもそも「保存」という概念がない。PC(ローカル環境)で作成した文書は、ファイルサーバーのファイルに一定間隔で自動同期される。文書ではテキストを書いたり、画像を張り付けたり、Webページをクリップしたりできる。

 情報共有ツールにはチケット管理ツールや社内SNSもあるが、超上流~上流工程ではOneNoteの方が向くと判断したという。「OneNoteは保存操作が必要なく、直感的に操作できる。写真を簡単に扱えるのもメリットだ。打ち合わせのホワイトボードを撮影して、そのままページに張り付けられる」(植田氏)点を評価した。

植田 淳氏はMicrosoft OneNoteでチームの過程を共有
植田 淳氏はMicrosoft OneNoteでチームの過程を共有
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