週1回、グループの定例会議を実施しているが、連絡事項を一方的に伝えるだけで終わってしまう。この会議を開催する意義はあるのだろうか―。多くのプロジェクトマネジャーにとって、会議の活性化は悩みの種だろう。

 「会議で配る資料を工夫すれば、チームメンバーが自律的に助け合う雰囲気が生まれる」。NECソリューションイノベータの岡部裕之氏(パブリック事業本部 第二社会インフラソリューション事業部 マネージャー)はこう話す。

 岡部氏は「アジェンダシート」と呼ぶ、A4用紙に両面印刷した会議資料を作成している。アジェンダシートには、岡部氏のこだわりが凝縮されている。連絡事項やプロジェクト概要、予算状況、グループの目標といった項目に加えて、「メンバーが研修や休暇で長期不在にする予定」「メンバーが取り掛かっているタスク」「進捗状況の要約」を記載している。

岡部裕之氏は「アジェンダシート」を会議で利用
岡部裕之氏は「アジェンダシート」を会議で利用
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「困っている」と言いやすくなる

 アジェンダシートの効果は、大きく二つあったという。

 一つは、メンバーが抱えるタスクが明確になったことだ。「各メンバーは特定のプロジェクトにアサインされているが、そのプロジェクトの業務だけをしているとは限らない。以前関わったシステムの保守作業をしたり、社内研修に参加したりもする。各メンバーがやっているはずのタスクをアジェンダシートに書き、『ほかにやっていることはないか』と聞くと、短時間の会議でも効率よくメンバーのタスクが分かる」(岡部氏)。

 アジェンダシートがたたき台になるため、メンバーはアジェンダシートに書いていないタスクや、締め切り日などのタスクに関する補足を説明するだけでいい。また、長期不在にする予定が分かっていると、タスクの割り振りや状況確認の計画を立てやすくなる。

 二つめは、それによりメンバー間の助け合いが活性化したことだ。「あるリーダーは、メンバーが1週間フルに稼働できると考えていたが、会議中の報告で別の作業で3日間拘束されることが分かった。たまたま負荷が軽かった別のメンバーが『私なら代わりに入れますよ』と言って、作業を肩代わりしてくれた」(岡部氏)。

 岡部氏は「以前は、メンバーが困っていても言い出しづらい雰囲気があった。困っているかどうかが分からないと、ほかのメンバーも助け船を出せない。タスクを可視化して、それについて会議で確認するようにしたことで、『困っている』と言い出しやすい雰囲気になった」と話す。