海外からの観光客獲得のためにデジタル技術をどう活用すべきか--。2017年7月21日に開催された「インバウンド・ジャパン 2017」(主催:日経BP社)のテーマセッション「デジタル解析と外国人視点で高めるインバウンド力 ~Diamond Route Japanの事例より」では、その答えを探るヒントが示された。

 テーマセッションには、東京を起点に福島・栃木・茨木の3県を結ぶ観光ルートを「Diamond Route Japan」としてPR動画を作成、配信した福島県観光交流局観光交流課の吾妻嘉博課長、PR動画のマーケティングにSNSソリューションを提供した日本オラクル専務執行役員クラウド・アプリケーション事業統括兼クラウド・アプリケーション事業統括マーケティングクラウド統括本部長の下垣典弘氏がパネリストとして登壇。Diamond Route Japanのプロデューサーを務めたXPJPの渡邉賢一社長がモデレーターとして参加した。

福島県観光交流局観光交流課の吾妻嘉博課長
福島県観光交流局観光交流課の吾妻嘉博課長
(撮影:清野 泰弘、以下同じ)
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日本オラクル専務執行役員クラウド・アプリケーション事業統括兼クラウド・アプリケーション事業統括マーケティングクラウド統括本部長の下垣典弘氏
日本オラクル専務執行役員クラウド・アプリケーション事業統括兼クラウド・アプリケーション事業統括マーケティングクラウド統括本部長の下垣典弘氏
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XPJPの渡邉賢一社長
XPJPの渡邉賢一社長
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強力なコンテンツで福島を印象付ける

 セッションは前半のプレゼンテ―ションと後半のパネルディスカッションの2部構成で進められた。前半は、まず吾妻氏による福島県のインバウンド戦略の紹介からスタートした。

 吾妻氏は、福島県のインバウンド戦略で重視したのは、「エンゲージメントをいかに創り出すか」だったという。福島県では、BtoC戦略においてマスメディアの活用、リアルな手法、そしてデジタル手法の3つを戦略の基本にした。マスメディアでは、テレビではなくGoogleのインストリーム広告を活用。デジタル手法ではFacebookやYouTubeを利用したという。

 一方、風評被害を払拭する取り組みとして、吾妻氏は「正確な情報発信のみならず、強力なコンテンツの配信を重視した」という。福島県への旅行を検討している海外の人は、福島県のインバウンド戦略やそのシステムに興味があるのではない。コンテンツを見に来ている、と説明。「コンテンツは作成すれば視聴してもらえるわけではない」とし、視聴者に強烈に福島を印象付けるコンテンツとして、「只見橋梁の雪景色などの映像を動画に盛り込んだ。それが福島を訪れる強烈な動機付けになったと考えている」と語った。