中古車輸出のビィ・フォアードは2017年7月20日、「インバウンド・ジャパン 2017」(主催:日経BP社)の講演で同社の越境ECを成功に導いた施策や海外市場で自社製品・サービスの認知度を高める工夫を説明した。講演には、ビィ・フォアードの山川博功代表取締役が登壇。同社のこれまでの取り組みに触れながら、越境ECサイトを軸とした今後の方向性を示した。

ビィ・フォアードの山川博功代表取締役
ビィ・フォアードの山川博功代表取締役
(撮影:清野 泰弘、以下同じ)
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 同社は現在、月間約1万2000台の中古車をアフリカ諸国を中心に127の国と地域に輸出している。山川氏によれば「国内のネット通販売上高ランキングでは14位、越境ECサイトでは第1位」という。これは日本流通産業新聞による調査で、12位にはジャパネットたかた、13位にはイトーヨーカ堂、15位にはユニクロがランクインしている。

 同社がインターネットでの中古車輸出を開始したのは2006年。スポーツカー専用のECサイトを立ち上げ、同時に中古車輸出サイト「トレードカービュー」にも掲載したことで、徐々に販売台数が増えていったという。その後、解体車を低価格で仕入れて整備して輸出するビジネスに注力し、一気に売上が伸びていった。

 今でこそ多くの事業者が手掛けているビジネスモデルといえるが、当時は本格的に手掛ける事業者は少なく、先行者利益が得られる市場だった。「先にやった者が勝つという言葉通り、2010年に年間12億円程度だった売上が、このビジネスを契機にその後の5年間で一気に500億円にまで拡大した」(山川氏)。

輸出先国の通関業務をITで効率化

 同社が中古車輸出のECサイトで成功した理由の一つは、解体車に着目したところにあるとする。山川氏はビィ・フォワードの強みとして「ブランド力、商品力、資金回収力、物流力、人材力の5つがある」と強調。続けて、「それらの強みがIT基盤の上にあり、ITの力によって支えられている」と示した。

 同社が重視しているのが「IT力の強化」(山川氏)だ。「ECサイトをどのように工夫したら良く売れるサイトになるか。現在でも毎月数億円を投資してABテストの実施と結果の解析、フォントや色の改善、カスタマージャーニーの追跡などを行い、改善を繰り返している」(山川氏)という。

 さらに、ITを活用した取り組みとして注力しているのが輸出先国の港湾施設における通関のための書類作成の効率化だ。同社では、現在、タンザニアに毎月約4000台の中古車を輸出しているが、通関処理には膨大な書類が必要で、作成にも整理にも手間がかかる。