コンビニエンスストア大手5社が取り扱う商品にICタグを貼付し、店頭や物流業務の効率化を推進しようとしている。経済産業省が2017年4月に公表した「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」への賛同を表明し、メーカーやITベンダーを巻き込んで具体的な検討を開始するという。

 ICタグを貼ることで、商品一つひとつを情報システムで識別できるようになる。「個品管理」と呼ばれる商品管理手法だ。ICタグに割り当てた固有のIDと、生産情報や物流情報、販売情報などをひも付ける。

図●ICタグ内のIDに様々なデータがひも付く
図●ICタグ内のIDに様々なデータがひも付く
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 こうした情報をサプライチェーンの要所要所で読み書きし、企業間で共有することで、業務の効率化や新しいビジネスチャンスの発見につなげるのが「コンビニICタグ」の狙いである。

 こうした個品管理を実現するうえで難題となりそうなのが「コード問題」だ。

JANコードで個品管理はムリ

 ここでいうコードとは、商品を個品管理するために使うIDのこと。コンビニ各社の構想では、商品に貼るコンビニICタグには、企業をまたいで通用するシリアルなIDを付与する必要がある。

 現在、コンビニや量販店など、日本の小売業で広く使われているコードは、いわゆる「JANコード」である。13桁の数字で構成されている。正式名称は「GTIN-13」(GTINはGlobal Trade Item Numberの略)だ。

 13桁のコードには、事業者コード(9桁または7桁)、商品アイテムコード(3桁または5桁)、チェックデジット(1桁)が含まれる。チェックデジットとは、入力ミスや読み取りの誤りをチェックするための数値である。またGTINとして扱うときは、頭に「0」を付けて14桁で扱うのが一般的だ。

図●GTINの構成。JANコードは頭の「0」を含まない13桁で、その場合はGTIN-13と呼ぶ
図●GTINの構成。JANコードは頭の「0」を含まない13桁で、その場合はGTIN-13と呼ぶ
(流通システム開発センターの資料を基に作成、以下同じ)
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 JANコードの場合、商品識別に使える桁数は最大で5桁しかない。これでは、年間1000億個の商品を取り扱うコンビニICタグのシリアル番号としては桁数が足りず、使えない。