「転職すれば、『今よりもやりがい・幸せを感じられる』と思いますか」。日経BP社の技術系媒体が実施した「エンジニア転職意識調査」では、技術者にこんな問いを投げかけた。
結果は、「はい」が58.6%と「いいえ」をやや上回った(図1)。転職すればやりがいや幸せを感じられるはずだ、そんな職場を選びたいとの思いの表れだろう。一方で「いいえ」を選択した人も41.4%に上り、悲観的な見方をする人も少なくない。
さらに詳しく分析してみた。職種別の集計では傾向に違いがなかったが、年齢別では目立った差が出た(図2)。「やりがい・幸せを感じられるか」に対して「いいえ」と答えた人の割合は40代が最も多く、47.7%。60代以上より20ポイント近く、30代より10ポイント以上多かった。
40代に次いで「いいえ」が多いのは50代で、43.7%。管理職やベテランとして現場を率いる年代が、他の年代に比べて、転職によるやりがいや幸せの向上に期待を持てずにいることが分かる。
50代のエンジニアからはこんな声が寄せられた。「前職は過酷な労働条件だったが任される範囲は広く、やりがい(刺激)があった。転職によって年収が100万以上増加し、休日増や労働時間減など労働条件も改善したが、やりがいは無く古い体質の中で働いている。割り切りが必要」(IT:システム・ソフトウエア開発、50代)。転職によって全ての状況が改善されるわけではなく、何かを優先すれば何かは妥協しなくてはならない。労働経験や転職経験を重ねる中で、そうした諦めの境地に達しているのかもしれない。