エンジニアの多くは、転職による給与アップには期待を抱いていない――。日経BP社の技術系媒体が実施した「エンジニア転職意識調査」からは、そんな実態が浮かび上がった。
調査では、「転職すれば『給料が確実に上がる』と思うか」と質問。「はい」「いいえ」のどちらか近い方を選んでもらったところ、エンジニアの77.4%が「いいえ」と回答した(図1)。給与アップを期待するエンジニアは、2割ほどしかいない。
職種別では、給与が上がると考える割合が最も高いのは建築・土木。27.8%と、3割近くが「はい」と答えた(図2)。これにIT系(24.6%)が続く。電子・機械系は17.2%と低く、建築・土木系とは10ポイント以上の差がついた。
さらに細かく分析すると、「はい」と答えた人の割合が群を抜いて高かった職種が2つある。IT系の情報セキュリティエンジニア(42.9%)と、建築系の計画・設計エンジニア(41.7%)だ。前者は7人、後者は24人と回答者数が限られることは考慮する必要があるが、いずれも人手不足感の高い職種だ。
年齢別に分析すると、「はい」と答えた人の割合は年齢が低いほど大きい。20代以下では36.1%、30代では24.7%と、全体(22.6%)を上回った。対照的に、40代以上では20%未満にとどまった。
自由意見には、給与アップに対して悲観的な声が目立った。「必ずしも給料は上がらない。最初の数年間は昇給が無い」(半導体:設計・企画、40代)、「一部の優秀な人材を除き、給与・待遇はよくならない」(IT:プロジェクトマネジャー、30代)などだ。「転職は機会でしかなく、生かすもつぶすも本人次第。転職を機に給与アップには成功したが、努力の結果だと思っている」(IT:セールスエンジニア、40代)との意見もあった。