果たして、技術者の転職はキャリアアップにつながるのか。日経BP社の技術系媒体が実施した「エンジニア転職意識調査」では、7割超がキャリアアップにつながると考えていることが分かった。
調査では、「転職すれば『キャリアアップにつながる』と思うか」という問いに、「はい」か「いいえ」のどちらか近い方で回答してもらった。「はい」を選択した割合が72.3%に上り、キャリアアップにつながると考える人が多数を占めている(図1)。IT系、電子・機械系、建築・土木系の職種別に集計しても、結果はほぼ同じだった。
転職経験別に集計すると、やや結果に違いが見られた。キャリアアップにつながると考える割合が、転職経験がない人(回答者数299人)では67.2%にとどまるのに対し、転職経験が1度(同165人)と2度以上(同208人)では75%を超える(図2)。
経験者は、自分の転職がキャリアアップにつながったと実感しているということだろう。キャリアアップにつながっていると思いたい、との気持ちが回答に影響している可能性もある。
自由意見には、キャリアアップに対する様々な考え方が寄せられた。その一つが、「転職がキャリアアップになるというよりも、現職の経験を生かしつつ、別業種や別技術のエンジニアとして働くことでキャリアの加算をしていく。すると加算が乗算となり、より貴重な人材となる」(自動車:設計・企画、30代)というもの。転職するだけでキャリアアップができるわけではなく、転職で新しい領域に挑戦することで経験の幅が広がり、キャリアも高まるとの意見だ。
イメージと現実とのギャップに言及する声もあった。「転職はキャリアアップのためにするというのが一般的なイメージ。だが実際には、今の職場環境に不満があり、それを改善するためという人が多いと思う」(IT:システム・ソフトウエア開発、30代)。