転職は、優秀な人がするものか。この問いに対するエンジニアの意見は、真っ二つに分かれた。日経BP社の技術系媒体が実施した「エンジニア転職意識調査」の結果である。
調査では、「転職は『優秀な人材がすることだ』と思いますか」と尋ね、「はい」か「いいえ」のどちらか近い方を選んでもらった。結果は「はい」が51.3%、「いいえ」が48.7%と拮抗した(図1)。
自由意見にも両方の声が寄せられた。「優秀な人ほど、転職はできる。できない人は他社で通用しないということ」(IT:情報セキュリティエンジニア、40代)との意見もあれば、「まだまだ転職がネガティブにとらえられる風潮がある」(IT:システム・ソフトウエア開発、20代)との声もある。転職に対する社内の空気や、身近で見聞きした転職経験者の姿などによって、見方が変わるのだろう。
回答を詳しく分析してみたところ、職種別には大きな違いがなかった。年代別に集計してみると、20代と60代で全体と異なる傾向が見られた(図2)。60代は「はい」と答えた人が約6割なのに対し、20代は約6割が「いいえ」と回答している。
60代にとっての転職は、積み重ねたキャリアを生かして新たな活躍の場を見つけるという意味合いが大きいだろう。逆にまだキャリアが浅い20代での転職では、現在の職場が自分に合わず新天地を求めるといったケースも多そうだ。この違いが、調査結果にも表れていると考えられる。