50代エンジニアにとっての転職は、新しいスキルや経験を得られる挑戦よりも、これまでの蓄積を生かせるかが大事――。日経BP社の技術系媒体が実施した「エンジニア転職意識調査」から、そんな傾向が見えてきた。

 調査では、「転職する場合に重視する点」として優先度の高いもの5つを尋ねた。年代が上がるほど選択する人の割合が増えたのが、「前職の経験を生かせるか」「保有資格を生かせるか」だ(図1)。

図1●「前職の経験を生かせるか」「保有資格を生かせるか」を重視する人の割合
図1●「前職の経験を生かせるか」「保有資格を生かせるか」を重視する人の割合
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 特に、50代で大きく数値が上がる。40代と比べて、前職の経験を生かせるかでは11.3ポイント、保有資格を生かせるかでは7.4ポイント高い。転職時には、蓄積してきた経験やスキルを武器にしたい、それらが活用できる職場で働きたいという思いが感じられる。

 新しいことに対して消極的な様子も見て取れる。「日本語だけで仕事ができるか(英語力に自信がない)」を選択した割合は50代が顕著に高く、11.1%に達する(図2)。他の年代の2倍近かった。エンジニアでも英語力が求められるケースは増えているが、50代エンジニアでは腰が引けている人も少なくないようだ。

図2●「日本語だけで仕事ができるか」を重視する人の割合
図2●「日本語だけで仕事ができるか」を重視する人の割合
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 一方で、50代は他の年代と比べて「企業規模」や「業績・株価」を重視しない傾向がある。代わりに、「やりがい」を重視する割合がどの年代よりも高い。会社の規模や安定性にはとらわれず、仕事を通じて会社や社会の役に立つといったやりがいを大事にしているようだ。

調査概要
アンケート調査をWeb上で実施。日経BP社のIT系、電子・機械系、建築・土木系のWebメディアを中心に告知した。調査実施期間は2017年7月3日~7月12日。回答者数は672人で、職種の内訳はIT系407人、電子・機械系122人、建築・土木系90人、その他53人。回答者の年齢は、20代以下72人、30代227人、40代214人、50代135人、60代以上24人。