エンジニアとして、現場で中心的な役割を果たす30代。この世代は、何を重視して転職するのだろうか。日経BP社の技術系媒体が実施した「エンジニア転職意識調査」の結果からは、この年代ならではの思いや事情が読み取れる。
「転職する場合に重視する点」として優先度の高いもの5つを尋ねた設問で、選択肢として用意した24項目を年代別に分析してみた。全年代の中で、30代の割合が最も高かった項目が「会社の将来性」だ(図1)。33.5%と、年代別で唯一3割を超えた。
30代は仕事だけでなく、プライベートでも責任が重くなる時期だ。結婚や子どもの誕生、マイホームの購入などの重大イベントを30代で迎える人は多い。両親の老いに直面し始める人もいる。家族のことを考えると、会社の将来性は転職時の重要な判断材料になるということだろう。
自由意見でも、30代エンジニアからは家族への言及が目立った。「家を買い、家族(年とった親含む)がいると、転職したいが、難しいと考えている」(自動車:設計・企画、30代)との声が代表的だ。
転職と家庭との両立が課題になるケースもあるようだ。「男だが、共働きで子育てをしている。妻の会社が柔軟な勤務形態ではないため、試用期間をどう乗り切るかが課題」(IT:システム・ソフトウエア開発、30代)。
家族との時間を大事にするために転職を決めた30代エンジニアもいる。「8月転職予定。家族との時間を多く取るため、転勤の少ない地方の企業に決めた。通勤時間は往復3時間から20分程度に。年収は700万円から650万円にダウンしたが、それ以上に得るものがあると考えた」(IT:ネットワークエンジニア、30代)。