総務省が2017年7月4日に公表した2016年度の通信市場の検証結果(案)では、携帯電話大手3社の契約数に占めるMVNO(仮想移動体通信事業者)の比率、ならびにMVNOの契約数における事業者別(回線提供元)シェアが新たに明らかとなった。利用者アンケートでは通信速度・品質やアフターサポートを含め、MVNOへの不満がそれほど高くないことも判明した。

ドコモのMVNO比率は10.7%

 総務省によると、2017年3月末時点における携帯電話の契約数は1億6273万件。事業者別のシェアはNTTドコモが41.1%、NTTドコモ(卸)が4.9%、KDDIグループが28.2%、KDDIグループ(卸)が1.6%、ソフトバンクグループが22.1%、ソフトバンクグループ(卸)が2.0%だった。

携帯電話の契約数における事業者別シェア
携帯電話の契約数における事業者別シェア
出所:総務省
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 「卸」はMVNOを意味しており、契約数に換算すると、NTTドコモが約797万件、KDDIグループが約260万件、ソフトバンクグループが約325万件である。各社におけるMVNOの比率はNTTドコモが10.7%、KDDIグループが5.4%、ソフトバンクグループが8.3%といった水準になる。格安スマホではNTTドコモの回線を活用したサービスが目立つが、ソフトバンクグループも通信モジュールを中心に法人向けで実績を積み重ねており、KDDIを上回る結果が出た。

 総務省は別途、MVNOの契約数(2017年3月末時点で1586万件)における事業者別シェアも公表しており、NTTドコモが50.5%、KDDIグループが27.3%、ソフトバンクグループが22.2%だった。契約数に換算すると、NTTドコモが約801万件、KDDIグループが約433万件、ソフトバンクグループが約352万件になる。

MVNOの契約数における事業者別(回線提供元)シェア
MVNOの契約数における事業者別(回線提供元)シェア
出所:総務省
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 数値に誤差はあるものの、上記はKDDI系のUQコミュニケーションズやソフトバンク系のWireless City PlanningといったBWA(広帯域移動無線アクセスシステム)のMVNOも含まれる。BWAではUQコミュニケーションズのほうが積極的にMVNOを展開しており、こちらではKDDIグループがソフトバンクグループを上回った。

 もっとも、これまでの推移を見ると、NTTドコモがKDDIやソフトバンクを大きく上回る伸びを見せており、まさに格安スマホ効果と言える。MVNOへの貸し出し料金(接続料)はNTTドコモが最も安く、この傾向がしばらく続きそうである。