「人工知能(AI)やMR(複合現実)などのデジタル技術によって、時間の使い方や現場での働き方、仕事の進め方を変革できる」――。日本マイクロソフトの平野拓也社長は2017年7月7日、「IT Japan 2017」(日経BP社主催)で講演し、働き方変革におけるデジタル変革の重要性について解説した。

日本マイクロソフトの平野拓也社長
日本マイクロソフトの平野拓也社長
(撮影:井上 裕康、以下同じ)
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 企業では現在、CDO(最高デジタル責任者)を設置するなど、デジタル変革への取り組みが加速しているという。経営者が直面する課題のトップ5は「収益性の向上」「人材の強化」「売上げ・シェア拡大」「新製品・新サービス、新事業の開発」「事業基盤の強化」とした。

 ところが、デジタル変革が重要であるという事実に同意するビジネスリーダーは日本では50%、つまり2人に1人しかいないと平野社長は指摘。一方で、アジア全体の平均は80%のリーダーがデジタル変革が重要であると思っているとした。

 こうした状況を受けてか、経済協力開発機構(OECD)が報告したレポート『OECD Compendium of Productivity Indicators 2015』によると、日本の労働時間あたりのGDP(国内総生産)は、当時の加盟34カ国中で下から13番目という低い位置に甘んじている。

 「働き方を変えることによって、ビジネスを改革していかなければならない」と平野社長は強調。例えば、平野社長の執務室での会議は椅子に座らず立ったままという。「無駄が無くなり、よく発言するようになる。何より立って会議するほうが早く終わる」(平野社長)。

個人の働き方にAIが週次でアドバイスしてくれる

 平野社長はデジタル技術を使って働き方を改革するパターンを三つ挙げた。AIによる時間の使い方の改革、AIによる現場での働き方の改革、MRによる仕事の進め方の変革――である。

 AIによって時間の使い方を改革した例として自社事例を紹介した。日本マイクロソフトはMyAnalytics(マイアナリティクス)と呼ぶAIを使っている。社員一人ひとりに「どのように時間を使っているか」「誰と多くの時間を共有しているか」などを週次で報告してくれるという。