「グーグルやアマゾンのようなプラットフォーマーになれなくても、AIを武器にした戦い方はいくらでもある」――。2017年7月6日、都内で開催された「IT Japan 2017」(日経BP社主催)に日本IBMグローバル・ビジネス・サービス事業本部 戦略コンサルティング&デザイン統括の池田和明執行役員が登壇。人工知能(AI)を武器にした企業の競争力強化について講演した。

日本アイ・ビー・エム グローバル・ビジネス・サービス事業本部 戦略コンサルティング&デザイン統括の池田 和明執行役員
日本アイ・ビー・エム グローバル・ビジネス・サービス事業本部 戦略コンサルティング&デザイン統括の池田 和明執行役員
(撮影:井上 裕康、以下同じ)
[画像のクリックで拡大表示]

 IoT(インターネット・オブ・シングズ)時代において、企業が競争を繰り広げる領域として、池田氏は「ハードウエア(H)」「データ資源(D)」「サービスプラットフォーム(P)」「顧客体験(X)」の4つがあると説明した。

 ハードウエア(H)は、「ネットワークにつながっているハード」(池田氏)を指す。現在ネットワークにつながるハードは100億台あり、現実世界とデジタル世界の接点に必ず存在するものだという。データ資源(D)は、ハードのセンサーなどが収集した情報のこと。「デジタル時代の天然資源」(池田氏)との位置付けだ。

 サービスプラットフォーム(P)は、多数のユーザーとサービスを提供する企業が参加する場だ。「この場を取り仕切る権限を持つプラットフォーマーは非常に強い立場であり、データ資源の権益を押さえることにつながる」(池田氏)。顧客体験(X)は、データ資源を活用し顧客に提供する価値のこと。「最終的な成果であり、顧客の生産性や利益に直結するところだ」(池田氏)。

 「この4つが関連し合い、企業の競争が繰り広げられている」と池田氏は述べる。IoT時代に企業が採る定石の戦略は、「H-D-X」「X-D-P-H」「Buy(D)」の3つに分類できるという。

 1つめの「H-D-X」型は、家電や機械などのハードが収集したデータを基にハードの制御を改善することで、顧客の体験価値を高める。池田氏は、建設機械をネットワークにつなぐことで生産性を高める、コマツの「スマートコンストラクション」を例に挙げた。

 2つめの「X-D-P-H」型は、顧客にサービスを使ってもらうことで蓄積された顧客データをプラットフォームに活用し、ユーザーの利便性を高める。「Amazon Echo」や「Google Home」などの例を挙げた。