日本ヒューレット・パッカード(HPE)の吉田仁志 代表取締役 社長執行役員は2017年7月6日、「IT Japan 2017」(日経BP社主催)で講演した。世界を飛び交うデータ量が急速に増える中、同社がクラウドやエッジ分野でどのような取り組みを進めるのか、最新の事例を紹介した。

日本ヒューレット・パッカード 代表取締役 社長執行役員吉田 仁志 氏
日本ヒューレット・パッカード 代表取締役 社長執行役員吉田 仁志 氏
(撮影:井上 裕康、以下同じ)
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 講演の冒頭で、吉田社長は2020年に世界で生成・複製されるデータ量が40ZB(ゼタバイト)に達するとの推計を紹介。世界の人口は77億人に達し、1000億個のデバイスが普及するという。そのデバイス上では、1兆個ものアプリケーションが動作するとの予測だ。

 HPEはそうした未来に向け「人と物がつながる」ことを思想として掲げる。中心に据えるのが、「クラウド」と「エッジ」だ。

 吉田社長は、クラウドの導入を検討する顧客は目的を認識することが重要だと語った。クラウドは流行であるものの、「導入自体が目的になっている企業も見受けられる」(吉田社長)。パブリッククラウドを全面的に採用するのか、部分的に採用するのか。それとも、プライベートクラウドなのか。企業がクラウドを導入する形態は様々だ。

 吉田社長は、パブリッククラウドに移行した顧客のうち、63%がプライベートクラウドへの変更やオンプレミスへの回帰、ハイブリッドクラウドの採用を希望している、というデータを示した。顧客からの様々なクラウド要求に対し、シンプルに応えるのがHPEの戦略だ、とした。

 その戦略を支えるソリューションとして吉田社長が挙げたのが、同社がコンポーザブル・インフラストラクチャと呼ぶサーバー製品「HPE Synergy」だ。パブリッククラウドやプライベートクラウド、オンプレミスといった複数の環境を持つ多くの企業は、それらを別々に運用している。環境間の接続にも別の枠組みが存在しており「全体の運用は非常に大変だ」(吉田社長)。吉田社長は、HPE Synergyは共通のツールを使って共通のポリシーでこれらの環境を運用できる、とアピールした。