「新しいビジネスモデルが破壊を起こす。ソフトウエアの保守費用を削減すれば、イノベーションに使えるお金を確保できる」――。日本リミニストリートで北東アジア統括ジェネラルマネージャー兼日本支社長を務める脇阪順雄氏は2017年7月6日、「IT Japan 2017」(日経BP社主催)で講演し、新しいビジネスモデルを生み出すことの大切さと、イノベーションのためのお金を捻出する方法について解説した。

日本リミニストリートで北東アジア統括ジェネラルマネージャー兼日本支社長を務める脇阪順雄氏
日本リミニストリートで北東アジア統括ジェネラルマネージャー兼日本支社長を務める脇阪順雄氏
(撮影:井上 裕康、以下同じ)
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 日本リミニストリートは、第三者保守サービスを提供しているベンダーである。欧州SAPや米オラクルなどのソフトウエアベンダーが提供する正規の保守サービスの代わりに日本リミニストリートの保守サービスを利用することによって、ユーザーは保守料を50%削減できるという。

 さらに、正規の保守サービスと比べた独自の価値として、カスタマイズ部分についても、追加料金を支払うことなく保守サポートを受けられる。また、使用中のソフトをアップグレードしなくても長期サポートを受けられる。

 講演ではまず、日本リミニストリートの立ち位置として“破壊(ディスラプション)”という言葉を使った。破壊と聞くと悪いイメージを抱きがちだが、現在ではマジックワードになっていると脇阪氏は言う。「破壊によって何かが起こるんじゃないかという期待を持たせる言葉になっている」(脇阪氏)。

 IT業界の人はテクノロジーが破壊を起こすと思っているが、これは間違いだと脇坂氏は指摘する。「新しいビジネスプロセスが破壊を起こす」(脇坂氏)のだという。「T型フォードも、大量生産モデルというビジネスが破壊を起こしたのであって、テクノロジーの話ではない」(脇坂氏)。

新しいビジネスモデルに投資せよ

 ビジネスが主導する破壊的なイノベーションの例として脇坂氏は、米ダフル(DUFL)、米エアービーアンドビー(Airbnb)、米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)の三つを紹介した。

 このうちDUFLは、クラウド型のクローゼットサービスを提供している。スーツケースが送られてくるので服を入れて送ると、倉庫に保管してくれる。必要に応じて、必要な服を必要な場所で受け取って利用できる。運送サービスと倉庫サービスを組み合わせたサービスでしかないが、ビジネスモデルが優れている例であるという。

 Airbnbは、民泊サービスを提供している。2008年にITエンジニアが参画し、借りたい人と貸したい人をマッチングする仕組みを実装してから事業が軌道に乗ったが、もともとは空いてる部屋を活用できないかという個人的な着想で始まったビジネスである。

 日本リミニストリートの本社である米リミニストリートの顧客も、削減した保守費用をイノベーションにまわすことによって、新しいビジネスを始めている。こうした例の一つが、金属部品を提供する米NCIビルディングシステムズで、削減したコストのうちの5000万円をEC(電子商取引)に投資し、今ではEC経由の売上が年間100億円にまで成長したという。