「ものづくりを日本から変える。これを合言葉に、製造現場の新しいインフラ作りを進めたい」――。2017年7月5日、「IT Japan 2017」(日経BP社主催)の特別講演に登壇したファナック 取締役専務執行役員の松原俊介研究統括本部長はこう述べた。同社は「IT Japan Award 2017」でグランプリを受賞している。

ファナック 取締役専務執行役員の松原俊介研究統括本部長
ファナック 取締役専務執行役員の松原俊介研究統括本部長
(撮影:井上 裕康、以下同じ)
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 松原氏は、ファナックが2017年秋にリリースする予定の、工場向けIoT基盤「FIELD system」について説明した。「FANUC Intelligent Edge Link & Drive system」の略で、クラウドとエッジの中間である「フォグ層」で生産設備データを集めて処理するのが特徴である。

 IoTシステムの多くは、集めたデータをクラウドへ集約して保存し、分析の対象とする。しかし、生産設備のリアルタイムにおける制御が必要な工場では、大量のデータが高速に飛び交うことになる。それらのデータを全てクラウドに集めると、処理の遅延や通信費、セキュリティが問題になる。

 そこでファナックのFIELD systemでは、ある程度のデータ処理を生産設備に近いエッジ側で行い、必要なデータだけをクラウドに送る。「一般的な製造現場のIoTは、エッジ機器の駆動(Drive)まで考慮していない。その点、ファナックのIoTは『エッジヘビー』だ」(松原氏)。

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