中小農家に続き、農業機械メーカーやITベンダー、ベンチャー企業もアグリテックの活用に意欲を見せる。その1社がクボタだ。

図●クボタの営農支援サービス「KSAS」の概要
図●クボタの営農支援サービス「KSAS」の概要
オープンデータや他社の農機データも利用可能に
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営農サービスと自動運転農機を連動

 クボタの営農支援サービス「KSAS(クボタ・スマート・アグリ・システム)」はアグリテックの先駆的なサービスの例と言える。2014年6月に提供を始めた。

 KSAS対応の農機を使う農業生産者は車載無線ユニットを通じて、田植えや収穫などの作業をするたびにセンサーからデータを取得できる。例えばKSAS対応のコンバインで稲を刈り取ると、エンジン回転や車速などの稼働データや収穫量、稲のタンパク質の含有率や水分量のデータを集められる。

 このデータを活用して、タンパク質含有率が多く稲が倒れてしまう場合は翌年の肥料を減らしたり、水分量に応じて乾燥機の動作を調整したりといった判断を可能にしている。

 2017年6月には有人と無人のトラクターが同時に畑などを耕す自動運転農機「アグリロボトラクタ」の試験販売を始めた。無人のトラクターが有人トラクターに連動して自動運転で耕作し、搭乗者は2台の動きを監視するだけだ。

クボタの自動運転農機「アグリロボトラクタ」
クボタの自動運転農機「アグリロボトラクタ」
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 クボタの木股昌俊社長は「農業に携わる人口が減る以上、生産性を上げなければならない。農業に詳しくない人を採用するケースも今後増えてくる。自動運転を目指す方向は、国内だけでなく世界でも主流になると思う」と話す(インタビュー参照)。KSASと自動運転農機を連動させて、耕作地ごとに収穫量や土壌、水管理などのデータを時間別に蓄積する「KSASレイヤー」と呼ぶ新たな仕組みも検討しているという。