(出所:日本テラデータ)
(出所:日本テラデータ)
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 緑や赤、黄色にピンクと、様々な色の細かい点が線でつながれています。一部はインベーダーのように見えます。いったいこのアート、何を表現しているのでしょうか?

 実はこれは不正な保険請求の関係を分析した結果で、ある保険会社の分析プロジェクトで得られたもの。アートのタイトルは「Fraud Invaders(不正請求インベーダー)」です。

不正な保険金請求を可視化

 このアートの見方を解説しましょう。点(ノード)の一つひとつはそれぞれ、保険金の請求案件を表していて、大きな点は調査により不正と判断された請求案件です。小さな点は、まだ不正かどうか特定されていない請求案件を表します。

 点と点を結ぶ線(エッジ)は、請求案件同士の結び付きを示しています。ここでいう結び付きとは、「異なる請求案件なのに、請求手続きに関するデータのなかに、電話番号や住所など個人情報のデータ項目で同じものがある」ことを指します。

 背景には、「保険金を不正に請求する人は電話番号や住所など同じ個人情報を、異なる請求案件で使い回すことが少なくない」ことがあります。アート上の線は、個人情報の使い回しの可能性を示しているのです。

 この線が赤く太くなればなるほど、個人情報のデータ項目に同じものが多くあり、結び付きが強いことを示しています。こういったアナリティクスの結果をアートにすることで、不正の可能性がある請求案件の集合を簡単に見つけ出すことができます。

不正請求につながる請求案件は「怪しい」

 このアートの左下、すなわち7時方向のエリアに複数の結びつきが強い点の集まりが見えます。よく見てみると、不正請求を示す大きな点と、共通点が多い請求である小さな点があります。

 小さな点は未調査の請求案件を示していますが、大きな点と強く結び付いていれば、「不正請求の可能性が高い」とみなせます。保険会社の担当者はすぐに「怪しい請求案件だ」と当たりを付けて、調査に取り掛かることができます。

 分析プロジェクトでは、「過去の不正請求案件と結び付きが強い未調査の請求案件」をリスト化しました。保険会社の調査部門に送ったところ、「リスト化された未調査の請求案件は不正である可能性が極めて高い」ことが分かりました。

 このアートでは保険金の請求案件同士の関係性を、「ネットワーク図」で表現しました。こうすると、疑わしい請求の結びつきや集まりを浮き彫りにできます。