Windows 10のLinux互換機能「Windows Subsystem for Linux(WSL)」は、標準で入門者から業務システムまで幅広くカバーするLinuxディストリビューション▼「Ubuntu」が利用可能だ。
ただWSLは、Ubuntuの利用に特化したものではない。スタートメニューには「Bash on Ubuntu on Windows」として登録されるものの、主要なLinux OSを動かせる。事実、2017年秋の大規模更新「Fall Creators Update」では、Windowsストアから「Fedora」や「openSUSE」といったメジャーなLinuxディストリビューションを配布する計画だ。
複数のLinux環境を使える「WSL-Distribution-Switcher」
2017年7月1日時点ではWindowsストアからUbuntu以外のLinuxディストリビューションを入手できないものの、非公式のWSL支援プログラムが存在する。Linux環境一式のファイルを書き換えるツール「WSL-Distribution-Switcher」だ。
WSL内で動作するLinuxディストリビューションの実体は、「%userprofile%\appdata\local\lxss\rootfs」にある。WSL-Distribution-Switcherは、このフォルダーにあるLinux環境一式のファイルを書き換える。Windows 10標準のUbuntu以外に、FedoraやopenSUSE、DebianといったLinuxディストリビューションをインストールできる。
WSL-Distribution-Switcherは、コンテナ管理基盤の「Docker」向けのOSイメージファイルを流用する。主要なLinuxディストリビューションの多くが配布サイト(リポジトリー)でDockerイメージを公開している。Dockerイメージは最低限の動作に必要なファイル一式を含んでいるため、WSL上での利用に向いている。
ハードウエアの抽象化やプログラムの管理を担う「Linuxカーネル」(カーネルは核の意味)に、起動時の初期化プログラムや各種アプリケーションを加えて一般的なOSとして使えるようにしたもの。