日経FinTechが2017年6月23日に都内で開催した「Nikkei FinTech Conference 2017#2」では、進化したテクノロジーが保険業界に与えるインパクトをテーマにしたパネルディスカッションが行われた。いわゆる「Insurtech(インシュアテック)」の現状と未来について、損害保険会社と生命保険会社のそれぞれの視点から議論を戦わせた。
登壇したのは、SOMPOホールディングス チーフ・データサイエンティストの中林 紀彦氏と、第一生命保険 営業企画部 インステック推進室長の市川 陽一氏。両社は保険業界の中でも、精力的に最新テクノロジーの活用に挑戦していることで知られる。モデレータは日経FinTech副編集長の高田学也が務めた。
データ分析が競争力の源泉に
まずSOMPOホールディングの中林氏は、「保険のその先へ、挑む」というキーメッセージを示し、業態変換に向けたR&D(研究開発)の現場の様子を紹介した。
スマートフォンを活用したケニアでの保険システムについて解説。ケニアでは、スマホを使って購入する種や苗にバーコードが付いており、これをスキャンすると保険の加入案内が届く。耕作状況をセンサーで監視し、水やりなどのアドバイスを行うサービスも提供していると説明した。
このシステムの利点は、干ばつや水害が起こった場合の被害を素早く把握でき、保険金の支払いまで多くの部分を自動化できる点にある。こうしたITと保険を融合したシステムを今後日本市場へ導入することを目標に掲げ、東京に「デジタル戦略部」、シリコンバレーに「SOMPO Digital Lab」を立ち上げたと紹介した。