日経FinTechが2017年6月23日に都内で開催した「Nikkei FinTech Conference 2017#2」の基調講演・対談に日本銀行 決済機構局長 山岡浩巳氏が登壇した。「中央銀行の視点からみたFinTechの未来展望」をテーマに、FinTechが切り拓く金融の未来と日本が取り組むべき課題について解説。モデレーターは日経FinTech副編集長の高田学也が務めた。

 基調講演に登壇した山岡氏は、昨年の講演を振り返りつつ、現在FinTech関連で起こっている海外の事例を紹介。FinTechでこれらからの金融や社会がどのように変わるか、その可能性について事例を示した。

安全であることがFinTechサービスの差異化ポイントに

写真●「Nikkei FinTech Conference 2017#2」の基調講演・対談に日本銀行 決済機構局長 山岡浩巳氏が登壇した
写真●「Nikkei FinTech Conference 2017#2」の基調講演・対談に日本銀行 決済機構局長 山岡浩巳氏が登壇した
(写真:新関 雅士、以下同)
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 山岡氏は中国アリババを例に挙げ、金融インフラが無かった途上国や新興国に一気に金融サービスがもたらされる可能性に言及。IoT(インターネット・オブ・シングズ)やシェアリングエコノミーなどと融合しながら、経済と社会をグローバル化していくFinTechの姿を示した。

 人びとの生活を変えるFinTechのキーワードとして「便利なフィンテック」「安心なフィンテック」「拡がるフィンテック」を示し、それぞれについて解説を行った。

 FinTechの技術を使うと、現状では確実な権利者がいない宝石や絵画の権利を保管可能になり、煩雑を極める貿易金融の分野でも信頼度を高めた取引が可能になると紹介。こうした用途にFinTechを利用する取り組みが国際社会で既に始まっているとした。

 海外でFinTechに関連した詐欺が多数発生していることにも言及。「今後は、当社のFinTechサービスは安全だというメッセージを打ち出すことが大きな意味を持ってくる」(山岡氏)。FinTechサービスは安全性が差異化ポイントとして重要になるとの見解を示した。