AIファースト。コンピュータのユーザーインタフェース(UI)を、従来のタッチパネルやキーボードなどからAI(人工知能)に置き換えようという米Googleの戦略だ。日本でも年内の発売が決まったAIスピーカーの「Google Home」は、生活のあらゆるシーンにGoogleのAIを広げる第一歩となるものだ。

 Googleが2016年11月に米国で販売を開始したGoogle Homeは、米Amazon.comの「Amazon Echo」を追従するものとなる。Amazon Echoの音声アシスタントが「Alexa」であるのに対して、Google Homeは音声アシスタントとして「Googleアシスタント」を搭載する。Google Homeは日本でも2017年内に発売される予定だ。

写真●日本でも2017年内の発売が決まった「Google Home」
写真●日本でも2017年内の発売が決まった「Google Home」
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 Googleアシスタントは、「Android」に2012年から搭載されている音声アシスタント「Google Now」を置き換えるものと位置づけられている。2017年5月には、日本語のAndroidにもGoogleアシスタントが順次搭載されることが発表されている。

Googleアシスタントの特徴は「会話」

 ただしGoogleアシスタントが一番最初に搭載されたのは、Googleのメッセージングアプリ「Allo」だった。続いてGoogleアシスタントは2016年10月に発売されたGoogle製スマホの「Pixel」と「Pixel XL」に、そして同年11月にGoogle Homeに搭載された。それ以外のAndroid OSにもGoogleアシスタントが搭載されるようになったのは、2017年2月からのことである。

 Googleアシスタントは、メッセージングアプリのAlloに最初に搭載されたことが示すように「会話」に重点が置かれた音声アシスタントになる。ここで言う会話とは、ユーザーが複数の質問文を投げかけた時に、前後の文脈(コンテキスト)をGoogleアシスタントが理解しているという意味だ。

 例えばGoogleアシスタントに「ビル・ゲイツ氏は何歳?(How old is Bill Gates?)」と話しかけると、Googleアシスタントは「ビル・ゲイツ氏は61歳です」と答えるが、続いてユーザーが「資産額は?(Net Worth?)」と質問すると、Googleアシスタントは「ビル・ゲイツ氏の資産総額は89,000,000,000ドルです」と返答する。誰の資産総額を聞いているのか、文脈から判断しているのだ。続いてユーザーが「マーク・ザッカーバーグは?(What about Mark Zuckerberg?)」と質問すると、Googleアシスタントは「マーク・ザッカーバーグ氏の資産総額は64,200,000,000ドルです」と答える。質問の内容が資産総額に関するものだと、やはり理解しているのだ。

 コンテキストを理解した会話は、調べ物をする時に効果を発揮する。例えばレストランで見知らぬメニューを見つけたときに、「カルニタスって何?」「メキシコ料理で、細切れにした豚肉をローストしたものです」「カロリーは?」「カルニタスのカロリーは2オンス(56グラム)当たり102カロリーです」などと流れるように調べ物ができる。「カルニタスのカロリーは?」と改めて質問する必要がない。

 では実際にGoogle Homeを使ってみよう。Google Homeの強みはやはり、Googleが提供する強力なクラウドサービスにアクセスできることだ。例えばGoogle Homeに「Helloは日本語でどう言うの?(OK Google, how do you say Hello in Japanese?)」と質問すると、Google Homeは音声で「こんにちは」と答えてくれた。Googleが提供する機械翻訳サービスを活用している。