サーバーレスアーキテクチャーの特徴を生かし、システムを構築する企業は増えている。アイレットが構築・運用を手掛ける毎日放送の動画配信サイト「MBS動画イズム444」もその一つ。イベント駆動型コード実行サービスである「AWS Lambda」をほぼ全面的に採用した点がユニークだ(図5)。

図5●サーバーレスアーキテクチャーを採用したシステム構成
図5●サーバーレスアーキテクチャーを採用したシステム構成
毎日放送の動画配信サイト「MBS動画イズム444」の構成。ただし簡略化のため一部の構成、処理を省略している
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動画配信サイトと相性抜群

 全面的に採用した理由は、動画配信サイトとの相性がよいため。動画配信サイトは一般に、ユーザーがアクセスする時間に偏りがあり、バックエンドに必要なリソースの増減が激しい。サービス開始後、ユーザー数がどのくらいの勢いで増えるのかも見積もりにくい。自動的にスケールしてリソースを柔軟に増減できるサーバーレスアーキテクチャーが最適と判断した。

 このシステムでは、原則として一つの機能ごとに一つのAWS Lambdaを利用している。ユーザーがログイン、動画の視聴操作、決済といった処理をしようとすると、APIゲートウエイ経由でそれぞれの処理用のAWS Lambdaを呼び出す仕組みである。この構成であれば、一部で障害が発生しても、他の機能は継続して稼働できる。

 構築上の主なポイントは、コンテナーへのリクエスト回数(コードを実行する回数)をできるだけ減らすことと、処理時間を短くすること。AWS Lambdaがリクエスト回数や処理時間に応じた課金体系のためだ。