変革テーマ | 業務上の課題 | 施策 | 推進組織 |
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鉄道保守作業の効率化 | 設備の弱点の発見 故障個所の予測 |
状態基準保全の導入 | 技術企画部 |
実施時期 | 効果 | 苦労した点 |
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2013年から |
鉄道運行の安全性・安定性の向上 保守作業の効率化 |
計測データである物理量と 故障の種類を対応付けすること |
「線路のどの場所で、どんな車両が、どんな故障を起こすのか。保守作業員が経験として蓄積してきた知識が、IoT(Internet of Things)技術によって裏付けされる時代になった」――。東日本旅客鉄道(JR東日本)で技術企画部長を務める横山 淳氏はこう強調する。
JR東日本は経済産業省と東京証券取引所が選出する「攻めのIT経営銘柄」に3年連続で名を連ねる。2017年は山手線車両「E235系」などで実施する「状態基準保全(CBM : Condition Based Maintenance)」の取り組みが評価された。
JR東日本の鉄道保守作業は従来「時間基準保全(TBM : Time Based Maintenance)」が主流だった。国鉄時代を含む過去の故障事例などを参考に設備の更新時期を決めてきた。現在でも保守基準によって3カ月ごとの定期検査を実施。「乗客の安全を最優先に検査周期を考え、余裕を見た期間で設備を交換している」(横山氏)という。
これに対してCBMは、線路や架線、車両の状態をセンサーなどで高頻度に収集して分析し、保守作業の効率化とコスト削減を実現する手法だ。CBMによって設備の状況をリアルタイムに監視できれば、設備の寿命のちょうど手前で交換できるので、コスト削減につながる。
メリットはそれだけではない。設備を更新した後、その効果をリアルタイムに検証できるのも特徴だ。例えば、交換した設備の劣化スピードが従来よりも遅いなら、その更新は有効だったと判断できる。今までは更新の効果を3カ月おきに測定するしかなかったという。