大規模企業向けシステムの開発での採用が本格化してから15年以上経った現在でも、Javaは中心的な開発言語の一つだ。Javaで開発した資産を抱える企業は多い。

 一方でこれまで見て来たように、企業向けシステムで利用されていたOSS(オープンソース・ソフトウエア)のJavaフレームワークのサポート終了や、新たなJava標準の登場など、企業向けシステム構築に欠かせないサーバーサイドのJavaを取り巻く環境は変わりつつある。

 今後もJavaは企業向けシステム開発に欠かせない言語であり続けるのか。そして、これからJavaを利用した企業向けシステム開発はどのような方向に向かっていくのか。

 まずは、日本に2人しかいない「Java Champion」の1人で、日本マイクロソフトに在籍する寺田佳央 デベロッパー・エバンジェリズム統括本部 テクニカルエバンジェリズム本部 シニアJavaエバンジェリストに「企業向けシステムとJava」の今後について聞いた。

 寺田氏は2001年のサン・マイクロシステムズの入社時からJavaにかかわり、日本オラクルを経て、2015年7月に日本マイクロソフトに転職した現在もJavaの普及、啓蒙にかかわる。

 現在は日本マイクロソフトというJava標準から「一歩離れた」立場でJavaを見る寺田氏に、Javaを使った企業向けシステムについて押えておくべきポイントを聞いた。






 長年Javaにかかわっている立場から、今現在の企業向けシステムとJavaの関係についてどのように見ていますか

 実際に世界的に見ても多くの企業がJavaを使って重要なシステムを構築しています。Javaというプログラミング言語が、企業向けシステムで欠かせない存在なのは間違いない事実です。

 今後も状況は同様に続くと考えていますか。

 はい。Javaを使ったシステム開発がなくなることはないでしょう。

 米Microsoftが、クラウドサービスの「Microsoft Azure」上でJavaをサポートするのもその証拠です。そして私が日本マイクロソフトにいるのも、Javaが広く使われている証拠です。長年、OracleでJavaにかかわっていた私が、日本マイクロソフトでJavaのエバンジェリストを務めるというのは、少し前までは考えられなかったと思います。

写真●日本マイクロソフトの寺田佳央 デベロッパー・エバンジェリズム統括本部 テクニカルエバンジェリズム本部 シニアJavaエバンジェリスト
写真●日本マイクロソフトの寺田佳央 デベロッパー・エバンジェリズム統括本部 テクニカルエバンジェリズム本部 シニアJavaエバンジェリスト
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 Javaは企業向けシステムで広く利用されている一方で、Java標準を巡っては「開発が遅い」といった声もあります。現状の開発言語としての「Java」については、どのように見ていますか。

 実行環境である「Java VM」上で動作する言語としてJavaのほかに、「Scala」や「Kotlin」「JRuby」などの選択肢があります。