2017年6月20日、ICTの総合展である「Cloud Days 九州 2017」(福岡国際会議場)で、最近福岡市に拠点を設けたスタートアップ企業など4社の責任者が登壇し、福岡進出の理由などについて語った。人口の増加数や増加率ともに全国トップで、政令指定都市で唯一税収増も続く福岡市には、東京など全国から進出する企業が相次いでいる。

アカツキ ソーシャルゲーム事業部 福岡拠点責任者 小倉将氏
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アカツキ ソーシャルゲーム事業部 福岡拠点責任者 小倉将氏
(写真:中馬 修、以下同)

 ソーシャルゲーム事業などを手がけるアカツキの福岡拠点責任者の小倉将氏は、「アジアへの近さ」や「明るい人が多い」ことに加えて、福岡市の人口増を挙げた。「事業は、拠点×人材で成り立つ。福岡市は長期的にも人口増が続くと予想されており、しかも若い人が多い。専門学校などゲーム開発への素養がある人が育つ環境も整っている」と評価。「さまざまな候補地の中で『福岡がいいんじゃないか?』と思って選んだが、実際に来てみて、その仮説が正しかったことを実感した」(小倉氏)という。

さくらインターネット セールスマーケティング本部 九州ユニット マネージャー 櫻井裕氏
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さくらインターネット セールスマーケティング本部 九州ユニット マネージャー 櫻井裕氏

 ホスティング事業などを展開するさくらインターネットの九州ユニットマネージャーの櫻井裕氏は、福岡の「チャレンジを称賛する文化」が理由だと話す。「福岡市には、新しいことに取り組む人を後押しする雰囲気がある」(櫻井氏)という。また「東京のような満員電車に毎日揺られる生活では、クリエイティブは成り立たない」(櫻井氏)とし、住環境の良さも評価したと指摘する。

ピクシブ 執行役員 東根哲章氏
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ピクシブ 執行役員 東根哲章氏

 イラスト投稿サイトなどのサービスを提供するピクシブ執行役員の東根哲章氏も、住環境を理由に挙げる。同社の東京本社では、社員を通勤ストレスから解放するために、オフィスの近くに居住することを制度的に推奨している。実際、6割の社員がこの制度を利用しているが、「福岡はそうした制度がなくても同じことが実現している。仕事以外のストレスがないから、仕事のパフォーマンスが上がる」(東根氏)点が、福岡市にオフィスを置いて得られた効果という。

メルカリ 執行役員 山田和弘氏
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メルカリ 執行役員 山田和弘氏

 フリーマーケットアプリのメルカリ執行役員で、カスタマーサポートの責任者を務める山田和弘氏は、多くのスタッフを必要とするカスタマーサポート拠点を開設するうえで、福岡市の人口構成が最適だったとする。「当社のように数百人のサポート拠点を作るのは、人口数万人の都市では無理。大規模な都市で若い人材、それもITやテクノロジーに関心のある人材の多い街というと、実はそんなに選択肢はない」(山田氏)。数少ない選択肢の一つが福岡市だったというわけだ。

福岡アジア都市研究所 調整係長 中島賢一氏
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福岡アジア都市研究所 調整係長 中島賢一氏

 キーノートの進行役を務めた福岡アジア都市研究所調整係長の中島賢一氏は、「クリエイティブやテクノロジーを強みとする企業が重視するポイントを、福岡市が有している点が評価されているようだ」と分析。「人を東京から集めるだけでなく、東京などへ放つパワーも併せ持つ」(中島氏)ことも、福岡市の強さと強調した。